【第39回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、“変革推進、品質は儲かる”

引き続き「日本と欧米、納得感と仕事の進め方の違い」について。
日本と欧米、納得感と仕事の進め方の違い (2)
【日本人は納得しない】
第38回では、「男性ばかりのミーティングに違和感はないでしょうか」、「変革が上手く進まない」、「日本語の曖昧さ、丁寧に、きちんと伝える」について紹介しました。変革が上手く進まないポイントは、①企業・組織のトップが本気ではない、②変革の大切さ、優先順位を従業員に正しく説明していない、ということをお伝えしました。
変革が上手く進まないパターンを、ブレインストーミングでイシューツリーを用いてマッピングした例を図39-1に示します。前回示したものです。何故変革が上手く進まないのか、あるプロジェクトを実施した際にコアメンバーでブレインストーミングした実例です。扱った製品名や人の名前は伏せていますが、課題とアクションを考えてみました。内容は間違っていないし、方向性には自信がありました。そしてこれを元にプロジェクトのステークホルダー、業務を担当している現場主任やオペレータに意見を聞くことにしました。そうすると一部の現場オペレータから、かなり辛辣な意見や批判がでてきました。

図39-2 はそのときの現場の声を追記したものです。結論として、私たちが最初に行ったブレストの要点と方向性は間違ってはいませんでした。変革の大切さ、優先順位を従業員に正しく説明していないとのポイントも合意してくれました。それでは何故、辛辣な意見や批判が出たのでしょうか。その場の雰囲気をお伝えすることは難しいのですが、オレンジの吹き出しがステークホルダー、現場オペレータから出された意見です。皆さんは想像できますか。
要は「自分達の意見をもっと聞け」、このようなブレストを行うなら「自分達の生の声を入れて欲しい」、「一緒にマッピングを行いたい」とのことでした。ブレストの結果だけ見せられても、ブレストに参加していないので、そのままでは我々は受け入れがたいということでした。ここが日本人のメンタルの(言葉は悪いですが)面倒くさいところです。このようなマップをゼロから作ってと頼むと、「できない、時間がない」と言うし、作ったものを見せると、「あーでもない、こーでもない」と言うのです。皆さんの職場でもそのような経験はありませんか。そこで手順を踏んで、「前回、現場オペレータの方に聞いた意見やアイデアを踏まえてドラフトを作ってみました。これで良いですか、どうでしょう」と聞くと、ようやく納得してくれました。そうなのです。日本人は手順を踏んで説明を受け、自分が参加しないと納得しないのです。逆に言うと、手順を踏み説明し、プロジェクトの企画段階で参画してもらい、自分の意見が取り込まれていると、妙に納得するのです。一度納得すると、とても協力的になります。素晴らしい精度とスピードで目標に向かうことができます。この部分の理論は説明しがたいですが、多くの日本人が持っている特性ではないでしょうか。特に集団になると現れます。

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