【第38回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、“変革推進、品質は儲かる”

「日本と欧米、納得感と仕事の進め方の違い」について。
日本と欧米、納得感と仕事の進め方の違い (1)
「Operational Excellence実行の勘どころ ー変革推進、品質は儲かるー」の中で、今回は「日本と欧米、納得感と仕事の進め方の違い(1)」 についてお届けします。
【男性ばかりのミーティングに違和感はないでしょうか】
はじめに皆さんに質問です。皆さんは男性ばかりの職場や、男性しか参加していないミーティングに違和感はありませんか。私は昭和生まれのサラリーマンで、男性中心の職場が長かったです。新卒で入社した医療機器営業の外回りは100%男性社員でした。臨床検査技師などの資格を持った女性は数名で、あとの女性社員は基本的に全て内勤でした。平成になっても多くの女性社員はオフィスにいて、男性社員のサポートでした。その後の医療機器、医薬品会社でも営業系は圧倒的に男性社員でした。近年、私がコンサルタントで支援する日本企業の多くも、特に製造業では社員の7-8割は男性です。管理職やプロジェクトリーダーが集まるミーティングはほとんど男性です。部長職や決裁をもらう役職もほぼ男性です。業種や職種によりますが、日本と欧米の違いの1つがこのような男女の差に見られます。良い悪いではなく、事実ではないでしょうか。
デザイン、衣料やファッション、美容、看護、福祉、販売やサービスなど、女性がメインの職場はあります。そのような企業でも正社員、リーダー、管理職、取締役になると、だんだんと女性の割合が減ってくるのではないでしょうか。最近、医師や歯科医師になる学生の半数以上は女性との話を聞きました。世の中は確実に変化しています。これまでの自分の経験や社会通念が益々通じない時代になっているようです。
私は外資系企業の勤務も長く、海外(グローバル)とのミーティングに参加することも多いです。グローバルミーティングでは、どんなミーティングでも男女の参加はほぼ半々です。管理職ミーティングやプロジェクトリーダーミーティングにも必ず女性がいます。あるとき海外出張中に対面ミーティングで女性が欠席となり、男性ばかり4-5名でミーティングルームに集まりました。そのときは逆にとても違和感があり、今日は男性ばかりだね、というのが第一声でした。
最初に質問した「男性ばかりの職場やミーティングに違和感はないでしょうか」には、どう答えますか。正しい企業運営、変革推進を進めるには、まずは男女の差がない職場が必要ではないかと、自戒を込めて思う次第です。
【変革が上手く進まない】
ここまで多くの企業・組織の業務変革を支援またはリードしてきました。業務変革をご依頼いただく企業の多くは、自分達だけでは変革実行が難しく、もっとスピーディーに変革や改善を実行したい、それ故、外部コンサルタントに依頼しますと言います。これは当然です。
本社や職場の物理的な移転プロジェクトは期日が決まっていて、全員一斉に移動します。移動先の新しい社屋や職場は、物理的な枠組みが先にあり、そこに皆が収まります。自宅の引っ越しと同じです。明け渡しの期日があり、ある日時に強制移動します。少しずつ引っ越すことは稀です。ITシステムが新システムへ移行する場合も、新旧システムの入替え作業日がアナウンスされ、ユーザーは強制的に新しいシステムをある期日から使うことになります。移動や引っ越し、新システムは、それぞれメリットとデメリットがあります。前の方が良かったというケースもあります。多くの場合、人々は新しい環境やシステムに対応し、それに馴染んでいきます。
業務変革や改善活動も同じです。期日を決めて、全員が一斉に変革に取り掛かり、新しいシステム・やり方に移行することが理想的です。分かっているけど、変革が進まないのは何故でしょうか。実際に業務変革を実施する企業を訪問し、対象となる職場でヒアリングすると次のような話になります。「上(マネジメント)からの指示で変革を要請されるが、改善活動に時間をとれない」、「改善イベントに参加するのは、いつも同じメンバーで、一部だけだ」、「改善活動は兼務(追加業務)なので形だけの改善になってしまう」、「そもそもどのように進めればよいのか分からない」などです。図38-1は、変革が上手く進まないパターンを、ブレインストーミングでイシューツリーを用いてマッピングした例です。

結論からお伝えしますと、上手く行かないポイントは2つあります。①企業・組織のトップが本気ではない、②変革の大切さ、優先順位を従業員に正しく説明していない、ことが挙げられます。サラリーマンは常に上司やマネジメントの本音を敏感に察知します。本当は変革の前に〇〇を優先したい、△△を優先すべきだのようなオフレコ発言はあっという間に組織内に広まります。従業員が本気で変革に取り組むかどうかは、上司や部門長の本気度が重要になります。ネガティブ発言やオフレコ発言は厳禁です。企業・組織のトップが本気になることです。本気の姿勢を見せないと変革は上手く進みません。
2つ目は変革の大切さや優先順位を従業員に正しく説明していないケースです。部門長はメールや月次の全体集会などで活動を伝えますが、年に数回の概要話で従業員に伝わるでしょうか。「伝えた」と「伝わった」は違います。「聞いた」と「理解した」も違います。「理解した」と「納得した」も違うし、それにより「アクションをする」かどうかも違います。このあたりが難しいところです。
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