【第36回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、“変革推進、品質は儲かる”

現場オペレータと管理者のギャップについて。
現場オペレータと管理者のギャップ
「Operational Excellence実行の勘どころ ー変革推進、品質は儲かるー」の中で、「現場オペレータと管理者のギャップ」についてお届けします。
少し振り返りをいたしましょう。第34回、「何故、変革(トランスフォーメーション)を行うのか?」の中で、変化に対する無言の抵抗がある話をしました。会社や組織のマネジメントが、「変化を推進しよう、DXを活用しよう」とか、「トランスフォーメーションを加速しよう」と方針を掲げても、一般社員や現場オペレータは、「またか、、、」という反応ではないでしょうか。「そうだ、会社の言うとおりだ、変革しよう!」と、すぐに動くことは稀です。
関係者全員が活動の趣旨を受け入れる、納得感ある環境を整える、その上でスタートする、そしてプロジェクトに協力してくれる関係者と活動の仕組み作りをするなどが大切と紹介しました。そして、そのときのポイント(勘どころ)が、「何か新しいこと、プロジェクトを始める前には、自分の仕事の整理と整頓をすること」です。プロジェクトをスタートするとき、まずは自分の仕事を棚卸し、整理整頓から始めるとよいです。心の準備も含めて1か月くらいすると、本格的にプロジェクトに向き合える状態となります。この変革に向き合える心の状態が大切なのです。変革(トランスフォーメーション)に向き合う準備を整えるという意味です。
【持っている情報量と視野の違い】
ここで質問です。プロジェクトを始めるとき、皆さんはどのように現場オペレータや職場の関係者とコミュニケーションをとっていますか。まずはメールで伝える、会議室で説明する、話をする、作業現場に行き、朝礼や定例ミーティングに参加し趣旨を伝える、などではないでしょうか。少し複雑なテーマの場合は、飲みにケーションやタバコ場などインフォーマルな雰囲気の中で相手にやんわりと主旨を伝えることもあるでしょう。事前のネゴシエーションというやつです。これらがダメというわけではありません。私のような昭和世代には大いに有効です。マネージャーや管理者(監督者や工程責任者)が、会社・組織方針や自分のやりたいことを伝えることは大切です。自分の意思を伝えないと仕事は前に進みません。一方でこれらの行為はどれも、「自分が相手に協力して欲しいことを伝える」、「相手を納得させようとする」行為です。
私自身が最近気づきましたが、「協力して欲しいことを伝える」のは従来・これまでのやり方です。私がOPEX推進部門長の仕事をしていたとき、周りの人はそれなりに私の話しを聞いてくれました。変革推進の役割があり、そのような立場で接するので、「井口さんに言われるから仕方ない」となるのです。以前の職場で、グループアシスタントの方から「井口さんは社長と親しく、(このポジションは)社長へのダイレクレポートです。会社で怖いものないし、やりたいことが何でもできますよね」と言われたことがあります。逆に言うと「一般社員にはそのようなパワーはないし、正しいことを言っても、周りは聞いてくれない」という意味です。同じ話をしても、立場とポジションパワーのあるなしでは相手の受ける納得度合は違います。
図36-1は現場オペレータと管理者の会話がかみ合っていない例です。マネージャーや管理者は工程の生産性向上が必要であり、現場オペレータに改善を頼みますが、現場オペレータは積極的にはなれません。よくあることです。最近はマネージャーが強く言うと「パワハラ」と言われるし、やんわりと伝えると「伝わらない、物事が前に進まない」というジレンマもあるのではないでしょうか。もちろん普段からのコミュニケーションと人間関係は大切です。
ここでもうひとつ大切なことがあります。現場オペレータと管理者で立場が違うのは当然ですが、情報量が全く違うのです。海外とミーティングをしていると「あなたのPerspective(視点、見通し、視野)は何ですか」と聞かれることがあります。説明しているうちにお互いが持っている情報や視点に差異があることに気づく場合があります。同じ建物内、職場であっても、持っている情報と視野が異なると意思疎通がうまくいかないわけです。これはある意味当然です。
違いを認識した上でコミュニケーションすることです。この点は言うは易しで、常に意識するのは難しいです。

2ページ中 1ページ目
コメント
/
/
/
この記事へのコメントはありません。
コメント