知的財産の基本から知財ミックスまで【第13回】
意匠権の保護対象について
今回は、意匠権の保護対象となる「意匠」とは何かということに焦点を当てながら解説したいと思います。
<意匠とは>
意匠法上、「意匠」とは、「物品(物品の部分を含む。以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き、以下同じ。)であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう」(意匠法2条1項)と規定されています。2019年の法改正により、保護対象が拡大され、「建築物の形状」および「物品性を有さない画像」(物品とは切り離された画像)が保護対象に含まれることになりました。
したがって、意匠権による保護(意匠登録)を受けることができるのは、次の3つのものであって、視覚を通じて美感を起こさせるものになります。
(1) 物品の形状等
(2) 建築物等の形状等
(3) 画像等
なお、「視覚を通じて美感を起こさせるもの」とは、意匠登録出願されたものの全体の形状等が、肉眼によって認識することができるものです。ちなみに、美感については、美術品のような美しさを要求するものではありません。
ここで問題になるのが、「物品」や「画像等」が何かという点です。なお、「建築物等」については、医薬品・医療機器とはほぼ関係ないと思われますので省略します。
(1)「物品」とは
意匠法における「物品」とは、「有体物である動産であって、独立して取引の対象となり得るもの」です。
したがって、動産ではない不動産や、電気、熱、光、粉状物、粒状物は、意匠法における「物品」には該当しません。
では、錠剤はどうでしょうか?
粒状物とも考えることができそうですが、肉眼によって形状等を認識することができるものですので、錠剤は意匠法上の「物品」に該当します。実際、錠剤に関する多数のデザイン(意匠)が意匠登録されています。例えば、次のような意匠が意匠登録されています。
また、錠剤だけでなく、錠剤が入った錠剤用容器の意匠も意匠登録されています。
なお、医療機器は当然「物品」に該当するので、多数の医療機器が意匠登録されています。
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