知的財産の基本から知財ミックスまで【第1回】

2022/06/10 その他

知的財産についてあまり詳しくない方にも、正しく理解していただくように、基本から分かりやすく解説します。

<はじめに>
 はじめまして、ブランシェ国際知的財産事務所の共同代表弁理士の高松孝行と、鈴木徳子です。今回は鈴木が執筆しますが、今後、交代で記事を執筆していきますので、どうぞよろしくお願いします。

 わたしたちは、特許や商標などの知的財産を取り扱う事務所を運営しています。弊所クライアントには、医療機器メーカー、医師、大学の教授等、多岐に亘る医療従事者がいますが、近年、医療業界において知的財産を巡る紛争が増えていると実感しています。
 特にスタートアップ企業は、資金調達や販路開拓等が最重要項目であり、知的財産に対する優先順位があまり高くなく、経営戦略上知的財産を上手く活用できていないという印象があります。
 そこで、知的財産についてあまり詳しくない方にも、正しく理解していただくように、基本から分かりやすく解説していきたいと思います。

<知的財産について>
 知的財産とは、人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物、すなわち「価値ある情報」のことをいいます。この価値ある情報を特許法、意匠法、商標法等の様々な法律により制度として守るのが知的財産制度です。
 

引用:特許庁HP


 今回は、知的財産の中でも皆さんに関わりが深いと思われる、特許、意匠、商標の「超基本」について記載します。

<特許>
 特許法は、発明者に一定期間独占権を付与して発明の保護を図る代償として、発明を世に公開し、それにより更なる技術開発が促進されることを通じ、産業の発達に寄与することを究極の目的としています(特許法第1条)。
 特許は技術的なアイデア(発明)を保護するものであり、特許法上、「発明」とは「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」と規定されています。
 医療関係の特許としては、最近は、医療機器に含められることになったプログラム関連の発明や、コロナウイルスの感染防止や検出に関する発明等が数多く特許出願されています。医薬品については、開発するのに膨大な時間と投資を要しますので、後発品を一定期間排除するためにも特許の取得は必須です。

 なお、議論の多いところですが、日本では現在、人道上の理由等により、医師等が人間を手術、治療または診断する方法といった医療行為に関する発明は、特許の対象としない運用が取られています。
 

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執筆者について

鈴木 徳子

経歴

ブランシェ国際知的財産事務所 共同代表弁理士。
代々医師の家系に生まれ医学書に囲まれた生活を送ったが、医師にはならずに文系の道を進み知的財産の専門家になった。一橋大学経済学部卒業。現ウォルト・ディズニー・ジャパンでキャラクターのブランディングを担当し、商品化権(著作権や商標権など)に基づくライセンスビジネスに携わる。ディズニー時代に初めて、「知的財産権」という言葉に出合い、その重要性を実感し弁理士になる。その後、外国知的財産サービス会社で大手日本企業(医薬品、化粧品、素材系メーカーなど)の全世界120か国における商標権取得、企業合併に伴う権利移転手続や侵害対応などに携わる。2015年3月事務所開設。大学や各種セミナーで講師も務める。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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