【第32回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、Control 管理フェーズで何するの?(その3)

改善効果の検証と工程能力・数値の検証について紹介する。
Control 管理フェーズで何するの?(その3)

【 改善効果を検証する 】
改善実施の「効果検証」についてです。DMAICフィルターアプローチを覚えているでしょうか。<図32-1>のように、問題・課題のインプットをフィルターに入れ、DMAICに沿って絞り込みを行い、プロセスの最適化を目指すアプローチです。
管理フェーズは改善を実行し、新しいプロセスを構築し目標達成させ、その達成度合いを確認します。プロジェクト企画書で定めた改善指標(KPI)に基づき、何がどの程度増えたか、減ったか、改善されたかを数値で評価します。数値評価の第一歩は、データのグラフ化です。

【 統計的工程管理図 SPCチャート 】
管理図は折れ線グラフのようなものですが、統計的工程管理図(Statistical Process Control Chart, SPC Chart)と呼ばれます。管理図にはいくつかの種類があり、<図32-2>左図は、個別管理図(I-chart)と呼ばれます。中心の緑ラインが平均(Xバー)、上の赤いラインが上方管理限界(Upper Control Limit: UCL)、下の赤いラインが下方管理限界(Lower Control Limit: LCL)です。時系列に収集したデータの推移を確認することができます。UCLは平均から+3標準偏差(+3σ)、LCLは平均から-3標準偏差(-3σ)を表し、データが正規分布している場合、数学的に上下の赤いライン(±3σ)の中に99.7%のデータが入ります。赤ラインの外側にデータが外れる確率は1000回中3回程度です。本来はそのほとんどが上下の赤ライン(±3σ)の内側に入るべきです。この例だと30個中2個がLCLから外れています。従って通常よりバラツキが大きいプロセスであると読み取れます(管理限界と仕様限界は異なります、説明は省略)。単純な折れ線グラフよりも、管理図は情報量が多く、GMPや工程管理では一般的に使用されています。
<図32-2>右図は改善前、途中、改善後を1つの管理図に示したものです。改善前の平均値98.73から改善後は平均値44.85となり、データのバラツキ度合いも大幅に改善していることが読み取れます。改善前と改善後のデータの推移、平均値、ばらつきの変化、それぞれの傾向を視覚的に見ることができます。管理図(SPCチャート)はDMAICの測定・分析・改善の各フェーズでも用います。(この例では改善後の安定性には改善の余地があります)
データを入手したらグラフ化してみる、データを視覚化することにより、いろいろな状況が見えてきます。管理図は通常業務でも役に立ちます。管理限界や標準偏差という言葉が出てきますが、慣れると簡単、とても便利なチャートです。
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