【第30回】Operational Excellence 実行の勘どころ 、Control 管理フェーズで何するの?(その1)

目標達成をデータで検証、実際のプロジェクト展開イメージについて。
Control 管理フェーズで何するの?(その1)
<アラブ首長国連邦(United Arab Emirates, UAE)、ドバイ、グランドモスク、ブルジュ・ハリファなど>
この写真は、アラビア半島にあるアラブ首長国連邦(United Arab Emirates, UAE)です。左上のシェイク・ザイ―ド・グランドモスクは真っ白な大理石でできており、4万人を収容できる大広間があり、クリスタルのシャンデリア、世界最大のペルシャ絨毯、内部の装飾も豪華絢爛です。写真中央のブルジュ・ハリファは高さ828m、163階建ての世界一の超高層建造物です。トム・クルーズの「ミッション・インポッシブル」でも有名になりました。展望台は複数あり125階(456m, At the Top Sky)からの眺めは圧巻です。一番高いところは王族専用です。左から2番目の写真はパーム・ジュメイラといい、直径4-5kmの人工島で高級ホテルや高級別荘があります。右下の写真はドバイモールです。世界最大のショッピングモールで巨大な水族館や屋内人口スキー場も併設されています。砂漠地帯に人類が作った街で、街のスケール、数々の施設は「すごい!」のひとことでした。
私は海外に仕事と観光で訪れ、その地域の自然や文化に触れ、そこで美味しい食事をすることが好きです。それぞれに味わいがあり、いつも感銘しています。その中で、ここUAE・ドバイは少々別格でした。驚きの連続だったからです。
UAEは地下資源の石油の富を活用し、7つの首長(アラブの王族)の合議制より統治されている連邦国家です。政治的なことは横に置き、私が驚いたのは街全体が計画的であり、ブルジュ・ハリファから見下ろす景色は「東京ディズニーランド」がいくつもあるようでした(写真左下)。モダンな芸術作品のような超高層ビルがたくさんあり、更に多くが建設中です。人工島のパームアイランドは既に3つあり、更に計画中とのことです。世界中のお金持ちが、ここに別荘を購入し集まってくるそうです。豪華なホテル、ヘリポート、別荘から直接桟橋を渡り自前のヨットに乗れます。街の周囲は砂漠地帯で、都市はまだまだ拡張できます。アジア・アフリカ・ヨーロッパの中継点として発展可能で、ドバイ国際空港は国際旅客数で既に世界トップクラスです。日本にもエミレーツ航空の直行便があります。いずれは枯渇する石油資源を念頭に、国を維持・管理、更に繁栄させるための強力な国家戦略を持っています。人が集まる「貿易拠点としてのハブ」と「観光産業」を軸に力をいれているそうです。将来に渡り、ヒト・モノ・カネが自然に交わり・集まる仕組みを構築していました。
砂漠地帯というゼロからの場所に、計画的に都市を建設し、それらを管理・運営(コントロール)し、更に発展させている巨大プロジェクトです。壮大なスケールのプロジェクトで、1つの目に見える事例として、管理Controlフェーズの最初に紹介しました。
チャンスがあったら、是非とも訪れてみてください。変化のスピードも速く、世界観が変わるかもしれません。
<図30-1 管理フェーズ、目標達成とその維持>
【 管理フェーズの実行ポイント 】
DMAICの最終フェーズ、Control 管理フェーズについて解説します。
改善を実行し、目標達成するとプロジェクトは完了です。ここで大切なのが、(1)改善が後戻りしないこと、(2)確実に目標達成していることを数値で検証することです。DMAICは前半のDMAで学ぶボリュームが大きく、この「勘どころ」シリーズでも統計解析を除いても、かなりのページ数になりました。ビジネスで大切なことは結果を出し、それが継続されることです。変革プロジェクトも同様で、目標達成したらそれを維持する必要があります。維持と管理は大切です。しかしこれらの作業は地味で、維持と管理は他人任せとで優先順位が低くなる場合があります。実際のDMAICトレーニングでも管理フェーズで教えるボリュームは少なく、またプロジェクト実行前なので、注意点をサラッと伝える場合が多いです。管理フェーズの大切さは実プロジェクトで苦労すると、その中身の意味がより理解できます。
以下、私がDMAICトレーニングやプロジェクト・コーチングで伝えている管理フェーズの「勘どころ」を紹介します。
<図30-1>のようにD/M/A/I/Cと進んできました。プロジェクトの山登りはいよいよ最終段階です。チームで登山をする場合、全員で頂上に立つことは1つの目標です。個々のメンバーを改善アクションに例えると、全ての改善アクションがゴールに(頂上に)到達して欲しいです。しかし実際にはアクションにより目標到達できるものもあれば、途中で到達できないものもあります。自責他責、当初計画した状況と異なり、アクションが上手く進まない場合もあります。登山はチームが安全に下山するまでが1つのプロジェクトで、DMAICも同様です。ゴール到達後、新プロセスを馴染ませ、プロセスを安定させ、確実に結果を出すことが大切です。ゴール達成後の安定と定着もプロジェクト範囲で、管理フェーズで確認・実施する大切なアクション事項です。
管理フェーズは「目標達成とその維持(定着)」で、具体的には以下の4つを行います。
- 新プロセスの管理計画を作成する
- 目標達成をデータで検証する
- 改善状態を維持、新しいプロセスを定着させる
- 関係者に結果を周知・共有し、プロジェクトを完了させる
プロジェクトはプロジェクト企画書(定義フェーズで作成)で定めたプロジェクト範囲・目標に対し、これらを達成できれば完了です。しかし、全ての改善アクションが上手くいくとは限りません。プラント建設や建物プロジェクトの場合は完成形が見えているので、期日と予算を区切って、建築物と主な設備・内装が完成したところでプロジェクトは完了となります。
私達が扱う業務変革・プロセス改善プロジェクトは、実は終わりが無いのです。業務は継続されるからで、プロジェクトの場合、どこでどのように終了させるか相談を受けることがあります。
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