医薬品の外観目視検査における要求品質の明確化のために【第26回】

外観目視検査項目

1.外観目視検査項目
 第十七改正日本薬局方製剤総則に、注射剤は、皮膚内又は皮膚若しくは粘膜を通して体内に直接適用する医薬品の溶液、懸濁液、乳濁液又は用時溶剤に溶解若しくは懸濁して用いるもので、無菌の製剤であると定義されている。薬物の物性・安定性、投与経路、治療目的に応じ、製剤工夫がなされている。
 また、製剤容器については、アンプル、バイアル、ボトル、バッグ、シリンジ等があり、材質についてもガラス、プラスチック等、様々である。注射剤の外観検査の観点からは、液体、乳懸濁体、固体が検査対象となり、上記組み合わせを考えると非常に多様な剤形であると言える。それぞれの製剤容器毎に検査方法も工夫が必要である(図表1)。

1.1 検査項目の設定に先立って
 外観検査というと、最終製品の検査をイメージすることが多いようであるが、原料・資材、中間工程品についても外観検査としての意識を高めるべきである。担当は異なっても、外観検査に対する考え方、方針は会社として統一すべきである。会社として、品質方針を明確にするとともに、外観検査を重要視していることを宣言したい。

1.2 検査項目、検査方法の設定
 ここでは、製品の剤形、容器、包装単位により、外観検査が必要と考えられる工程の中から、実際の検査工程と検査方法を設定することを考えてみたい。

(原料・資材)
 原料・資材規格に基づき、受入検査を行なうことになるが、外観検査項目としては、表示事項(品名、ロット番号、メーカー名他)、外装状態(汚れ、破損他)の他、内容物の色やにおいとともに、異物に関する検査も実施することが望ましい。異物限度については、製品中への混入影響を評価し、原料・資材毎に定める必要がある。また、この限度については、供給会社と規格化することが重要で、異物混入頻度をトレースし供給会社にフィードバックすることで安定した原料・資材を調達することができる。
 原料の検査方法については、一定量をサンプリングし、そのまま目視(かきわけ目視法)または溶解しフィルター上に異物を捕集する方法が考えられる。これらは、散剤、細(顆)粒剤にも適用できる方法である。

(中間工程品)
 中間工程品の外観検査については、バルク性状、異物、溶状(液剤の場合)が想定される。
 製造設備については、たとえバリデーションを実施していたとしても、制御機器の突発的な不具合、老朽化により中間工程品への影響が否定できない場合がある。工程検査員の感性に依存する部分もあるが、サンプリング方法も含め適切な管理方法を定めておくことが後工程への影響を低減できることは言うまでもない。


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