医薬品の外観目視検査における要求品質の明確化のために【第3回】

2021/03/26 品質システム

1.日本品質(Japan Quality)と過剰品質
 ISO、JISでは、「品質」とは、以下のように定義されている。
 
ISO9000:2005
「品質とは本来備わっている特性の集まりが要求事項を満たす程度である」

JIS Z 8101:1981
「品物またはサービスが、使用目的を満たしているかどうかを決定するための評価の対象となる固有の性質・性能の全体」

 また、日本人の几帳面さから、いわゆる「日本品質」と言われる潜在的な要求があることは、日本人自身が認めている事実であろう。実際、欧米の品質に関する感覚との差は非常に大きく、1980年代頃に欧米で製造され出荷検査に合格した注射剤を日本に輸入し、そのまま出荷すると、医療機関から不良品だとの苦情が殺到するというような事例が多発した。日本的な几帳面さで再試験(受入検査)すると半数以上が不合格になるとさえ言われていたそうだ。
 医薬品の外観等による品質の判断は、一般的にはその製品が良品か不良品かを判断するわかりやすい手段の一つではあるが、食品等とは異なり、医薬品の外観による判断には限界がある。
 以前、ある企業が、医療現場の窓口となる薬剤師が外観を気にすることを踏まえ、見かけの良い製品を製造し、他社製品との差別化を図っていた例がある。すなわち、カプセルをPTP包装する際に、カプセルの向き(色合わせ)を手作業でそろえていたのである。更に、その目的のための包装機械すら販売されていたようである。これらは、品質の本質から考えると意味のある事であろうか。
 
 

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執筆者について

新井 一彦

経歴 C&J 代表
化学系企業にてバイオテクノロジーを利用した医薬品の探索、開発研究に従事。その後、開発医薬品(無菌製剤)の製造工場立上げに製造管理者として関わりGMP組織体制、基本構想を構築した。
平成17年の改正薬事法完全施行に合わせ、新たに製造販売業を取得するため某ジェネリックメーカーの設立に関与。取締役信頼性保証本部長として総括製造販売責任者の責務を担った。
現在、C&J 代表として、講演、執筆、国内外のGMPコンサル業務活動を推進。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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