医薬品の外観目視検査における要求品質の明確化のために【第19回】

外観検査結果の解析について。
外観検査結果の解析
1.外観検査結果の解析
1.1 異物トレンド解析
外観検査により、異物混入品、不良品を排除することは、市場への流出を防止するという面からは、最後の砦であるが、排除することのみを最終目標としているだけでよいだろうか。外観検査により得られる不良情報は、原材料の良否、製造工程の適格性を反映するものであり、工程改善、コストダウンのために評価、解析し、活用しない手はない。外観検査で、最も重要なパートである。
<トレンド分析>
まずは、外観検査結果の推移を追うことから始めるべきである。検査不良率をロット毎に追うことだけでも問題検知の一歩となる。次のアクションとしては、不良内容を分類し、数量評価をすること。これにより、対応すべき不良の優先度が明らかになる。
また、データの集積により、標準的な不良品レベルが明確となり、標準的な不良率を設定することができる。これを基に、警報レベルを設定すれば、製品不良の増大を未然に防止できる可能性が高まることになる。原材料については、含量の多いもの(品質影響の割合の高いもの)から管理レベルを定めることから始めるべきである。
また、不良内容を分類、記録すること(まずは、色、サイズから)で、サプライヤーにその情報をフィードバックすることもできる。場合によっては、それらの異物情報を基に、受入規格に異物規格を設定する根拠にもできる。労力のかかる作業ではあるが、次項の異物ライブラリを作成することで、より具体的な情報となり、サプライヤー由来だけでなく、広く異物発生源(自社工程、設備劣化、作業環境、不適切作業等)が浮き彫りになってくる。
1.2 異物ライブラリの考え方
異物ライブラリの考え方については、三重県科学技術振興センター工業研究部医薬品研究センターでまとめた、「異物ライブラリ-異物の同定法と混入防止対策-」、三重県(2005)が分かりやすく、そのエッセンスが以下のホームページにも掲載されている(図表1)。
https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000171818.pdf
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