医薬品の外観目視検査における要求品質の明確化のために【第19回】

2022/07/22 品質システム

外観検査結果の解析について。

外観検査結果の解析

1.外観検査結果の解析
1.1 異物トレンド解析
外観検査により、異物混入品、不良品を排除することは、市場への流出を防止するという面からは、最後の砦であるが、排除することのみを最終目標としているだけでよいだろうか。外観検査により得られる不良情報は、原材料の良否、製造工程の適格性を反映するものであり、工程改善、コストダウンのために評価、解析し、活用しない手はない。外観検査で、最も重要なパートである。

<トレンド分析>
 まずは、外観検査結果の推移を追うことから始めるべきである。検査不良率をロット毎に追うことだけでも問題検知の一歩となる。次のアクションとしては、不良内容を分類し、数量評価をすること。これにより、対応すべき不良の優先度が明らかになる。
 また、データの集積により、標準的な不良品レベルが明確となり、標準的な不良率を設定することができる。これを基に、警報レベルを設定すれば、製品不良の増大を未然に防止できる可能性が高まることになる。原材料については、含量の多いもの(品質影響の割合の高いもの)から管理レベルを定めることから始めるべきである。
 また、不良内容を分類、記録すること(まずは、色、サイズから)で、サプライヤーにその情報をフィードバックすることもできる。場合によっては、それらの異物情報を基に、受入規格に異物規格を設定する根拠にもできる。労力のかかる作業ではあるが、次項の異物ライブラリを作成することで、より具体的な情報となり、サプライヤー由来だけでなく、広く異物発生源(自社工程、設備劣化、作業環境、不適切作業等)が浮き彫りになってくる。

1.2 異物ライブラリの考え方
 異物ライブラリの考え方については、三重県科学技術振興センター工業研究部医薬品研究センターでまとめた、「異物ライブラリ-異物の同定法と混入防止対策-」、三重県(2005)が分かりやすく、そのエッセンスが以下のホームページにも掲載されている(図表1)。
https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000171818.pdf


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執筆者について

新井 一彦

経歴 C&J 代表
化学系企業にてバイオテクノロジーを利用した医薬品の探索、開発研究に従事。その後、開発医薬品(無菌製剤)の製造工場立上げに製造管理者として関わりGMP組織体制、基本構想を構築した。
平成17年の改正薬事法完全施行に合わせ、新たに製造販売業を取得するため某ジェネリックメーカーの設立に関与。取締役信頼性保証本部長として総括製造販売責任者の責務を担った。
現在、C&J 代表として、講演、執筆、国内外のGMPコンサル業務活動を推進。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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