ゼロから学ぶGMP【第11回】

2016/11/02 品質システム

5-8 第11品質管理
5-8-1 試験指図書
 第11条第1項には「製造業者等は、品質部門に、手順書等に基づき、次に掲げる製品の品質管理に係る業務を計画的かつ適切に行わせなければならない」と記載されています。この条文で「計画的」という言葉が少々わかりにくいように思います。受け入れた「原料・資材」の検体採取を適切に行い、速やかに手順書に従い検査することや、「製品」の製造終了後、速やかに手順書に従い試験を行うことは当然のことです。ここでは「計画的」ということに関し、少し「試験指図書」について述べてみたいと思います。製造作業に関する指図書はGMP省令にも明確に記載され、疑問の余地はありません。一方「試験指図書」についてはGMP省令には記載がありませんが、PIC/Sには第4章Documentationの原則(Principle)の「要求されるGMP文書」の中の「指図書タイプ」の一つとして「試験の指図書」があげられています。すなわち試験指図書の発行が、製造等の指図書と同列で要求されています。GMP省令に記載がありませんが、例えば「受入れ試験」については、一定の条件が整えば、一部を省略することが認められていますが、省略する場合には試験指図書により省略する項目を明確にしておくことが勧められます。
 
5-8-2 検体採取と試験検査
 検体採取は施行通知にあるように「原則として品質部門の者が行うこと」とされています。検体採取は統計学的根拠等に基づいて、定められた手順書に従い実施することが必要です。このことはGMP省令(事例集8-16)でも、cGMP(CFR Part 211.84)、PIC/S(Annex8)でも同様です。ただPIC/Sではさらに「出発原料の完全なバッチの同一性は、通常個々にサンプルを全ての容器から採取し、確認試験が各サンプルについて実施された場合にのみ保証される。複数の容器のある部分のみのサンプル採取を行うことは、出発原料の容器の内、1つも不適正にラベル表示されていないことを保証できる、バリデーション済の手順が確立されている場合には許される。」との記載があり、結構悩ましいことではあります。
 ただ全包装容器から検体採取を行うことは、すべての容器の封を開くことであり、且つ容器の表層のみからの検体採取が妥当とも思われませんので、それなりのリスクがあることを理解しておく必要があります。これらの検体を用いて試験し、試験成績書が発行されることになりますがこれらは通常の業務であり、特記することはありません。

3ページ中 1ページ目

執筆者について

上田 泰生

経歴 1974年ミドリ十字入社、中央研究所配属。製剤研究部長、中央研究所業務部長を歴任。旧吉富製薬と合併後、信頼性保証部長としてGXP全般の監査を担当。その後2回の合併(三菱ウェルファーマ、田辺三菱製薬)を経る中で薬事監査部、品質保証部、薬制管理部を経験。2008年ニプロファーマ入社、本社品質保証部、城北工場品質保証部長を歴任。2013年退社。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

15件中 1-3件目

コメント

この記事へのコメントはありません。

セミナー

2025年2月26日 (水) ~ 2月28日 (金)

GMP Auditor育成プログラム第19期

2025年6月16日(月)10:30-16:30~2025年6月17日(火)10:30-16:30

門外漢のためのGMP超入門

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

株式会社シーエムプラス

本サイトの運営会社。ライフサイエンス産業を始めとする幅広い産業分野で、エンジニアリング、コンサルティング、教育支援、マッチングサービスを提供しています。

ライフサイエンス企業情報プラットフォーム

ライフサイエンス業界におけるサプライチェーン各社が提供する製品・サービス情報を閲覧、発信できる専門ポータルサイトです。最新情報を様々な方法で入手頂けます。

海外工場建設情報プラットフォーム

海外の工場建設をお考えですか?ベトナム、タイ、インドネシアなどアジアを中心とした各国の建設物価、賃金情報、工業団地、建設許可手続きなど、役立つ情報がここにあります。

※関連サイトにリンクされます