ゼロベースからの化粧品の品質管理【第14回】

衛生管理に関する手順書で明確にすべき項目について、具体的な進め方について考える。
化粧品GMP手順書の作り方 ②衛生管理(2/2)
前回は構造設備のハード面を支えるソフト面について、衛生管理に関する手順書で明確にすべき項目について紹介させて頂きました。今回は、これらの項目の具体的な進め方について考えてみたいと思います。
衛生管理に関する事項は、a)原材料・資材の取扱い b)作業者 c)製造設備・装置 d)建物等 e)ヒト f) 排水 g)廃棄物 等幅広い範囲の話しとなってしまいますが、今回は構造設備に関係する『製造設備・装置』、『建物』に関連する事項に限定して、“何を行うのか”についてお話します。但し、建物や製造設備における“防虫防鼠”に関連する事項は別の回でお話します。
1. 構造設備に関する衛生管理の運営面の基本
衛生管理手順書では、GMPの基本の3原則における「汚染及び品質低下を防止すること」を具体的に説明できるような“管理の体制”、“管理の仕組み”、“実施したことのエビデンスである記録”を具体的に示すことになります。この場合、製造工程で発生する可能性のあるリスクを把握することから始めなければいけません。どこかの手順書をコピペするケースが多いと思いますが、自社の状況を踏まえたものでないと役に立ちません。次に、そのリスクの中で重要項目を特定することが必要です。例えば、製造工程の中でそのリスクが排除できる場合には、その管理レベルは現状レベルでも“当面は是”とすることが必要です。つまり、どこかの手順書に書かれているからと捉われてしまうことはナンセンスです。繰り返しになりますが、構造設備は既にある条件の中で多額の投資費用を掛けることはできないこと、原料の取扱いやバルクの取扱いで異物汚染のリスクを認識して知恵をだすことで、解決策は一様ではないと考えるからです。
ここで面白いお話を紹介させて頂きます。ある工場で、なかなか製造用水の微生物汚染の問題について、配管の構造面から解決できないとのことでした。そこで、その会社では、全ての製品に対して製造で使用する水は85℃で30分以上製造の前日に加熱し、密閉放置、放冷して翌日製造するとのことでした。化粧水製造においても同様です。バチルス類に対しては効果がないことを認識しているものの、通常の製品では問題は起きていないとのことでした。実にコメントし難い対応策ですが、構造設備の制約からはある程度しかたがない対応策かもしれません。但し、私ならば製造釜の殺菌方法としてはOKですが、製造用水については最終出口に0.45μmのフィルターの設置を推奨します。
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