ゼロベースからの化粧品の品質管理【第3回】
化粧品の品質とは何か?という大枠の考え方について第二回で説明させて頂きました。更に、化粧品においてGMP体制を整備する手段として、日本化粧品工業連合会作成23のモデル手順書を活用する方法を提案させて頂きました。
今回は、現場の方の立場に立った実践的な手順を作るプロセスについて、私見になりますが説明させて頂きます。
毎回本題に入る前の脱線で恐縮ですが、医薬品系の方が化粧品製造所を監査される場合に、誤解されていると感じている事項について説明させて頂きます。この事項は化粧品製造所を運営する立場からはすごく重要な事項で、手順書の作成や管理体制に影響が大きく、各要件への過剰な要求に頭を悩まされている方が多い事項でもあります。
前回、化粧品における品質の理解が重要であることを述べましたが、結論としては、“化粧品とは何か”、“化粧品はどのように使われ”“どのような事項でお客さま満足を実現させることを目指しているのか”を理解することが重要で、その上で医薬品において運用されている良い面を要求すること、理解した上で品質を確保、維持する体制や仕組みについて品質リスクを感じたならば改善を求めることが必要であると考えます。
それでは、特に気になっている2項目について説明致します。
① 化粧品の製造工程に関しては『所定の特性を満たす最終製品を生産するように措置を講じること。』が求められていますが、医薬品のように製造工程に対してバリデーションまでの根拠は求められていない。
⇒ 化粧品では、製造量や使用する製造設備が変動しても求める製品の品質を保証できることの根拠があれば問題ありません。安全、安心の製品が求められていることは同じですが、極端に言えば、ロットにより違った工程が選定されても求める品質を満たせば問題ありません。
例えば、乳化製品においてライン上でホモ処理しても、バッチによるホモ処理で工程を組んだとしても、更に、処理回転数や処理時間の様子を見ながら求める工程であっても乳化粒子や粘度が同じものが得られるのであれば可能です。実態は、乳化粒子の分布の範囲や均一さを確保することはなかなか難しく、スケールアップ技術や経験に基づく生産技術が必要ではありますが・・・。
つまり、HACCPで言うCCP(重要管理点)を適格に捉える、乳液では乳化温度と求める乳化粒子(分布、大きさ)の特定とその管理体制が整っていれば問題ありません。査察等を行う場合には、この概念が明確になっていること、この管理体制が出来ていることが重要であって、行程が一定でないことの実態に拘って標準化を求めることに注力することには疑問を持ちます。なぜならば、原料を含めてバラツク要素に対して制御できない因子であることが多く、処理時間が違う対応を都度行うことで(原料ロットにより分子量分布がバラツクこと等)、求める乳化粒子と粘度や使用性が得られる工程ならば問題ないと判断して良いと考えるからです。
従って、GMPの監査において、工程条件の妥当性の根拠を最重要視するのではなく、管理すべきCCPの特定と、適切なモニタリング体制が確立されていることの確認の方が重要と考えます。言ってみればフレキシブルな対応を取っている≠標準化が出来ていないとの認識は間違っていると考えます。GMPの要件である“何時、誰がやっても同じ品質である”との解釈は医薬品よりもかなり広げて考えて判断すべきと考えます。
今回は、現場の方の立場に立った実践的な手順を作るプロセスについて、私見になりますが説明させて頂きます。
毎回本題に入る前の脱線で恐縮ですが、医薬品系の方が化粧品製造所を監査される場合に、誤解されていると感じている事項について説明させて頂きます。この事項は化粧品製造所を運営する立場からはすごく重要な事項で、手順書の作成や管理体制に影響が大きく、各要件への過剰な要求に頭を悩まされている方が多い事項でもあります。
前回、化粧品における品質の理解が重要であることを述べましたが、結論としては、“化粧品とは何か”、“化粧品はどのように使われ”“どのような事項でお客さま満足を実現させることを目指しているのか”を理解することが重要で、その上で医薬品において運用されている良い面を要求すること、理解した上で品質を確保、維持する体制や仕組みについて品質リスクを感じたならば改善を求めることが必要であると考えます。
それでは、特に気になっている2項目について説明致します。
① 化粧品の製造工程に関しては『所定の特性を満たす最終製品を生産するように措置を講じること。』が求められていますが、医薬品のように製造工程に対してバリデーションまでの根拠は求められていない。
⇒ 化粧品では、製造量や使用する製造設備が変動しても求める製品の品質を保証できることの根拠があれば問題ありません。安全、安心の製品が求められていることは同じですが、極端に言えば、ロットにより違った工程が選定されても求める品質を満たせば問題ありません。
例えば、乳化製品においてライン上でホモ処理しても、バッチによるホモ処理で工程を組んだとしても、更に、処理回転数や処理時間の様子を見ながら求める工程であっても乳化粒子や粘度が同じものが得られるのであれば可能です。実態は、乳化粒子の分布の範囲や均一さを確保することはなかなか難しく、スケールアップ技術や経験に基づく生産技術が必要ではありますが・・・。
つまり、HACCPで言うCCP(重要管理点)を適格に捉える、乳液では乳化温度と求める乳化粒子(分布、大きさ)の特定とその管理体制が整っていれば問題ありません。査察等を行う場合には、この概念が明確になっていること、この管理体制が出来ていることが重要であって、行程が一定でないことの実態に拘って標準化を求めることに注力することには疑問を持ちます。なぜならば、原料を含めてバラツク要素に対して制御できない因子であることが多く、処理時間が違う対応を都度行うことで(原料ロットにより分子量分布がバラツクこと等)、求める乳化粒子と粘度や使用性が得られる工程ならば問題ないと判断して良いと考えるからです。
従って、GMPの監査において、工程条件の妥当性の根拠を最重要視するのではなく、管理すべきCCPの特定と、適切なモニタリング体制が確立されていることの確認の方が重要と考えます。言ってみればフレキシブルな対応を取っている≠標準化が出来ていないとの認識は間違っていると考えます。GMPの要件である“何時、誰がやっても同じ品質である”との解釈は医薬品よりもかなり広げて考えて判断すべきと考えます。
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