医薬品工場建設のノウハウ -プロジェクトの成功に向けて- 【第7章-4】

試運転、スタートアップ(PJ Closing)
LL, KM
PMI(Project Management Instituteプロジェクトマネジメント協会)が制定しているPMBOK(Project Management Body of Knowledgeプロジェクトマネジメント知識体系ガイド)の定義では、「プロジェクトとは、独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務」とされている。
この「有期性」のため、「終わり良ければ総て良し」宜しく当該プロジェクト遂行中に得た知識や経験は個人の頭にしか残らない、いわゆる個人の暗黙知となることが多い。
このため、同じような失敗を繰り返したり、合理的ではない遂行方法が横行することになる。

これを避けるためには、LL(Lessons Learned学んだ教訓)をKM(Knowledge Management知識管理)システムに登録し、関係者に周知することが肝要である。
このKMは企業経営における管理領域の一つであり、生産管理、販売管理、財務管理、人的資源管理、情報管理に続く第6の管理領域といわれている。
KMでは、個人の暗黙知を形式知に変換することにより、LLの共有化、明確化を図り、同様なミスの削減、作業の効率化等を目的としている。
最近では、AI(Artificial Intelligence)の発展により、蓄積されたデータに対するデータマイニング(data miningデータから知識を取り出すこと)やデータウェアハウス(data warehousingデータから傾向性を発見すること)も行われている。

ひと昔前は、情報の容易な共有化のため、KMシステムへのLL登録システムを画一化し、このため入力が面倒となり情報が中々蓄積されないことが多かった。
最近では、エンタープライズサーチ(enterprise search企業内検索)に代表されるとおり、検索システムが高度化し、無秩序に保存されたデータへのアクセスも可能となっている。
従って、画一的にLLを整理する必要はなく、他者が理解できる内容にまとまっていれば十分な環境になっている。
但し、PCのデータ保存容量の拡大やクラウド(Cloud Computingデータをインターネット上に保存する使い方、サービス)の普及により、データ量が膨大化しているためサーチ時間が長くなりタイムリーにLLを探せないケースが散見されている。
対策としては、予めデータを分類、整理し、サーチ対象を限定するか、サーチエンジンの能力アップを図ることが考えられるが、データの分類、整理は時代に逆行している感があり、推奨できない。

 

執筆者について

経歴 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

コメント

コメント

投稿者名必須

投稿者名を入力してください

コメント必須

コメントを入力してください

セミナー

eラーニング

書籍

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

※関連サイトにリンクされます