医薬品工場建設のノウハウ -プロジェクトの成功に向けて- 【第6章-5】
生産機器搬入・ユーティリティ接続・開口仕舞・スケジュール・工事仕様調整
プロジェクトを開始して、各設備、システム、装置のURSがまとまり、DR/DQも無事完了すると、工事や装置製作は一気に進んでいく。途中、ベンダーからの細部の設計変更の提案や改善提案をやり取りしながら設備は出来上がっていく。建築、空調、電気が出来上がると、いよいよ生産機器の搬入である。
ここでは、生産機器の搬入から据付完了までのステップを見ていく。
(1)生産機器搬入
建築工事が終わるか終盤に差し掛かった時期に生産機器の搬入が始まる。
生産機器の内タンク類や包装機など大型のものは、鉄骨のステージを組んで搬入したり、場合によっては屋根の一部を外してレッカーで上から吊り下げることもある。何カ所にもステージを組むわけにもいかないため、おのずと機器の搬入ルートは限定される。よって、機器の搬入の順番には注意が必要である。先に搬入した機器を逃がして次の機器を搬入する等と融通が利く場合でも、逃がしたり戻したりの作業が発生するので、よほどの事情が無い限り奥から順番に搬入することになる。
機器搬入の順番が決まれば搬入スケジュールの調整が始まる。
搬入スケジュールには、機器を運搬してくるトレーラの取り回しも考慮しなければならない。機器のベンダーも数社にわたることが多いので、大まかなスケジュールが出来たら、搬入専門業者と機器ベンダー各社を集めて調整会議を開く。
調整会議は、各社が準備する期間を確保するため、機器搬入開始日の2か月ほど前には開催することをお勧めする。
機器搬入について注意しなければならないのが天候である。近年、豪雨や台風が増えているが、このような天候では機器の搬入は出来ない。天気の週間予報などに注意し、天候に恵まれないリスクが増大したときは、事前に関係者と善後策を調整しておく必要がある。搬入当日に風雨に見舞われ搬入を中止すると次の予定を組み立てるのが大変難しくなる。豪雨や台風などが予想されている場合は早い時点で勇気をもって日程を変更してしまうのが得策と考える。
無事搬入が終わったら、防虫防鼠対策を実施する。先ず、搬入口は忘れずシールをする。搬入が何日も続く場合は、毎日搬入終了後ドアの隙間などを仮の目張りをする。搬入した設備や部品はVHPなどで燻蒸する。殺虫剤は残留の問題があるので避けるべきである。
生産機器搬入後は定位置に設置し水平調整を行う。これらの作業は設計図書にしっかり寸法が書き込まれていれば支障なく進めることができる。
据え付け作業を円滑に進めるためには、総合図を作成することをお勧めする。
総合図は、平面レイアウトに生産機器、空調給気口や排気口、各種ユーティリティの位置などすべての情報を書き込んだレイアウト図である。
これを作成することによって、生産機器が他のユーティリティに干渉するか、給気口がふさがれないか、等を事前に確認でき調整することができる。
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