医薬原薬の製造【第17回】

2016/02/18 原薬

今回は、原薬の製造によく用いられている鈴木・宮浦カップリング反応について、筆者の思うところを述べたいと思います。
 

鈴木・宮浦カップリング反応

鈴木・宮浦反応は可溶性Pd錯体を用いたカップリング反応です。芳香族と芳香族を結合させるクロスカップリング反応はそれまでほとんど知られていませんでした。Naを使うWurtzカップリングが有名ですが、これは芳香族化合物のホモカップリングであって、クロスカップリングではありません。最初に鈴木・宮浦カップリング反応が報告されたのが1979年です。80年代、90年代にこの反応は次々と改良がなされました。芳香族と芳香族を結合させる反応がそれまでなかったので、この反応は新しい化合物の合成に次々と用いられるようになりました。今では、医薬、電子材料、液晶材料などに広く用いられています。世界で広く使用されるようになったことが、鈴木先生のノーベル賞受賞につながったものと思われます。
 
 
1990年代に鈴木反応が工業的にも使われるようになってきました。医薬で使われている鈴木・宮浦反応で最も有名な化合物は、アンジオテンシンIIレセプター拮抗剤です。この類の薬剤は、非常に多くのものが出ています。その基本構造は、以下です。
 
 
構造をみて直ぐ分かることは、ベンゼン環とベンゼン環が結合していることです。このような化合物を合成することは、鈴木・宮浦カップリングが世にでるまでは、非常に難しいものでした。こんな化合物が医薬として開発されたのも、鈴木・宮浦カップリング反応が世にでたからと言っても過言ではないでしょう。
 
次に鈴木・宮浦カップリング反応について詳細に解説します。

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執筆者について

森川 安理

経歴 アンリ・コンサルティング 代表。
大学修士課程で有機化学を専攻後、1977年旭化成工業(株)入社。スクリーニング化合物の合成、プロセス化学研究に一貫して従事。この間薬学博士号取得。その後、医薬原薬の工場長を10年経験。工場長として、米国、イタリア、豪州、韓国の当局の査察および、制癌剤を中心にする治験薬の受託生産を経験。旭化成ファインケム(株)を2013年2月末退職。2013年3月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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