技術移転に伴う業務をいかに効率的に行うか?【CORRESSA】

 
技術移転の実情

医薬品業界では、現在大きな構造変革が起きています。その変化の中の一つとして、大手製薬メーカのCMOの生産委託業務の拡大、或いは大手製薬メーカから他社へのライセンスアウトに伴う技術移転、更にはジェネリック各社間での共同開発が上げられます。
この技術移転に伴う日々の業務管理のやり取りには次のような特徴的な要件があり、その情報交換は現在のところ関係各社のメールシステムにて行われているのが実情です。
 ①   大量の重要文書の伝達、引継ぎ、保管が必要である事
 ②   委託側も受託側も色々な関係部署にまたがっているので調整が必要である事
 ③   定められた期間で効率よく正確に情報の伝達と管理を行わなくてはいけない事
 ④   場合によっては長期間の業務になり担当者変更やその伝達のTraceabilityが問わ
   れる事
 ⑤  関係者以外への誤送信は許されない事
これらは、まさに厳しい情報管理を必要とする「プロジェクト」として取り扱うべきものではないでしょうか。

この記事では、当社のエンジニアリングのプロジェクトで標準的に使用している「CORRESSA」(コレッサ)というプロジェクト管理ツールをご紹介します。本製品は、プロジェクトにおける企業間のコミュニケーションを円滑に行うためのツールとして自社開発した製品です。しかし、製薬業のお客様には、エンジニアリングのツールとしてではなく、技術移転プロジェクトにおける企業間の情報交換ツールとしてご使用いただいております。
技術移転プロジェクトは、当社の主力事業であるエンジニアリングプロジェクトと同様に関与する企業が複数存在し、その企業間のコミュニケーションが正確にかつセキュアにやり取りされる必要があり、業務の特性にマッチしたシステムとしてご利用いただいております。
なお、この記事は、技術移転自体の詳細な業務について説明するものでなく、CORRESSAというクラウドシステムをいかに技術移転プロジェクトで活用するかの観点での記述になるのでご了承ください。
 
一般的な技術移転の業務

技術移転プロジェクトの一般的な業務及びプロセスを提示します。

■  技術移転の文書体系
適切なプロセスを踏んで確立された技術を的確に移転するためには、適切な手順、技術文書を含む技術移転の文書体系が必要です。
色々な分類の仕方があると思いますが、一般的には次のような文書体系が最低限必要となります。
 (1)    技術移転契約書
 (2)    技術移転プロジェクトマスタースケジュール
 (3)    プロジェクト担当者リスト
 (4)    技術移転文書
 (5)    工業化検討書
 (6)    バリデーション関係図書
 (7)    安定性試験図書
 (8)    設備関係図書
 (9)    原材料関係図書
 (10)    包装関係図書
 (11)    薬事関係図書
 (12)    会議記録
 (13)    製造試験報告書
 (14)    その他
これらの大量の文書を間違いなく関係者に伝達し、承認を得てかつ継続的に集中保管、管理できるようにしておくことは、プロジェクト関係者にとっては必須事項となります。
現状では、メールや場合によっては、共有サーバにてのやり取りし、それぞれの会社、部門あるいは個人での保管や管理となっていることが多いと思われます。

■    技術移転のマスター計画
技術移転プロジェクトの一般的なスケジュールを提示します。
 
■    プロジェクトの組織体制
技術移転を成功させる最も重要な要素のひとつは、委託側と受託側の緊密な連携です。従って、両者のメンバーにより構成される技術移転組織を設置し、移転側と被移転側の各々の役割と責任範囲を明確にしたうえで、十分な情報の伝達とフィードバックを行うことが必要であると考えております。
受委託に係る技術移転の場合、一般的には下記の様に委託側の本社組織と工場組織、また受託側の工場組織が関与してきます。
委託側の本社組織では営業、技術統括、QA、薬事関係部門などが関与し、工場側では経営企画、技術、品質保証、PV、製造部門などが絡みます。受託側では事業開発、企画、技術、製造、品質保証、品質管理部門などが関係してきます。
 


委託側も受託側も複数の製品を複数の取引相手と行わなくてはいけないことになり、さらに複数製品を担当するとなると、その情報のやり取りは煩雑を極めることになり、正確なコミュニケーションを実現するのは非常に難しくなります。
また、技術移転に係る期間は通常2年と言われており、同時に双方ともプロジェクト最初から最後まで必ずしも同じ担当者が継続的に行うとは限らず、その文書管理の保管やコミュニケーションの履歴性は、従来のメールシステムを使っているプロジェクト関係者にとって頭の痛い問題のようです。

以上で明らかなように技術移転プロジェクトに伴う文書管理手法やコミュニケーション手法の課題には次の項目が考えられます。
 (1)  会社間でのコミュニケーションの履歴管理と秘匿性
 (2)  会社間及び部門間の文書送付、受領管理の迅速性、正確性及び履歴性の確保
 (3)  会社間あるいは会社内での文書の集中管理と履歴管理
 (4)  文書のナンバーリング及び文書特性の管理の容易さ
 (5)  技術移転プロジェクト毎の図書管理とコミュニケーション管理
 (6)  アクションのステータスを明確にする
これらの課題は現状のメールシステムでは容易に解決できないのは明らかです。
この記事では、これらの課題を解決できるサービスとして「CORRESSA」(コレッサ)をご紹介します。
某製薬会社様の例では、次の図のように、製薬会社様、自社工場様、委託先のCMO会社様の3拠点による技術移転プロジェクトで効率的に活用いただいています。
 
 

CORRESSAとは?

CORRESSAは、ひとことで表現すると、業務にかかわる社外の関係者とのセキュアなコミュニケーションが可能なコレスポンデンスツールです。エンジニアリング業界に携わったことがある方は、「コレポンツール」としてなじみがあるかもしれませんが、一般的には、メールシステムとの違いはあまり明確ではありません。従来のメールシステムとCORRESSAの違いを次の通り整理してみました。

■    システム的構造
一般的なメールシステムは、各社が管理するメールサーバにメッセージが届いて、メッセージを確認することができます。そのため、ネットワークの何らかの問題でメッセージがメールサーバに届いていない場合やスパムフィルタの機能によって、ユーザにちゃんと届かない可能性があります。CORRESSAの場合は、プロジェクトのセキュアな共有エリアに各ユーザがログインし、自分にアクセス権限のある情報を見ることができる仕組みとなっており、「送信」ではなく、そのユーザに「公開」されたメッセージと言い換えることができます。そのため、メールシステムでよくトラブルとなる「送ったが受け取っていない」という状況が存在しないことになります。ただし、CORRESSAを使用しているからと言ってメールシステムを全く使用しないということではなく、通常、メールシステムは常時受信できる状態になっているかと思います。CORRESSAに新しいメッセージが追加されたら、メールでお知らせしてくれるので、そのメールのリンクをクリックして情報にアクセスすることになります。

■    事前に登録されたユーザ間のコミュニケーション
CORRESSAは、当該業務(技術移転プロジェクト)にかかわる関係者をあらかじめ登録し、そのユーザだけが情報を共有できます。そのため、メールシステムで発生する誤送信のリスクから解放され、セキュアな情報交換が可能となります。

■    情報交換の分類
メールシステムでは、受信した情報を個人毎で識別し、メールシステムのタグ付けやフォルダ分けの機能で情報を分類整理しているのが通例です。そのため、個人毎の分類となってしまい、個々で認識が異なる場合があります。
コレポンシステムでは、当該プロジェクトで決められたルールに従い、送信者の意図とした分類でプロジェクト関係者に情報が提供されることになります。つまり、プロジェクトにかかわる関係者が同じ認識で情報が分類されることになります。

■    公開された情報は削除できない
メールシステムにおいて受信したメッセージは、個人レベルで削除することが可能です。一方、CORRESSAでやり取りされる情報は、そのプロジェクトの正式文書として扱われるため、一度公開された情報は削除できない仕組みとなっています。つまり、コミュニケーション情報の証跡とされるため、プロジェクトが完了するまで保持されることになります。通常プロジェクトは数年にわたって実施されるのでプロジェクトメンバーの入れ替わりはよくあることです。CORRESSAを活用している場合はプロジェクトに途中から参加した方でも、過去の履歴ややりとりは把握でき、引継ぎの手間も省けます。また、権限のコントロールによって、引き受ける側も同じ文書にもアクセスすることが可能です。

■    添付ファイル/関連文書の授受
CORRESSAの場合、添付するファイルサイズの制限はありません。最近では、情報セキュリティ監査のため、添付文書を暗号化して、別メールでパスワードを送る仕組みが各社で採用されていますが、プロジェクトでの頻繁に文書をやり取りする場面においては、パスワードの管理が煩雑となり、業務効率を下げてしまうことが多いのが現状です。CORRESSAでは、ログインする時点でセキュアな環境となっているため、添付文書は暗号化する必要がなく、セキュアな情報交換が可能となります。

もともと、CORRESSAは、当社のお客様である製薬会社様の工場や研究所建設におけるエンジニアリングサービスの業務効率化ツールとして開発した製品です。このエンジニアリング業務で使用されるCORRESSAが、技術移転プロジェクトで価値を見出すきっかけとなった某製薬会社様に導入理由をヒアリングしたところ、次のようなメリットを挙げていただきました。

1)  企業間 のコミュニケーションを確実に
 「言った」「言わない」をなくし、企業間における情報共有の場所として
  利用できる。

2)  業務の情報を1か所に集約
  別の業務の情報を混在させず、画面にはひとつの業務の情報のみを表示できる。

3)  情報を業務ごとに分類
  業務おいてルール化された情報の分類が可能(契約、会議、製造、技術、
  品質など)。

4)  セキュアな情報共有とファイル共有
  業務における共有サーバとしての利用ができる。

5)  中途参加のメンバーにも同じ情報を提供
  メールを転送することなしに業務に新しく参加された方にもすべて同じ情報を
  公開可能。

6)  アクションのステータスを明確に
  自社他社を問わず、当該業務のアクションのステータスを管理できる。

7)  これまで埋もれてしまっていたメールの情報をナレッジに
  個人のメールボックスに埋もれていた重要な情報を会社の資産に。

最後に挙げていただいた7)のメリットが最大のポイントで、これまでいくつもの技術移転が問題なく完了してきたが、個人のメールボックスにしかノウハウが残っておらず、業務の継承がなされていませんでした。このナレッジが会社の資産として蓄積できれば、今後の技術移転の業務改善、業務効率化が促進できるとのお言葉をいただきました。

 
その他のメリット

これまでCORRESSAの技術移転プロジェクトにおけるメリットを述べてきましたが、技術的なメリットも追記させていただきます。
このCORRESSAは、世界屈指のクラウドベンダーとして様々な業界で実績を上げている「Salesforce.com」(セールスフォース・ドットコム)のクラウドプラットフォーム上で構築されたクラウドアプリケーションです。大手企業、銀行から中小企業まで幅広い企業で利用されており、非常に高いセキュリティレベルのアプリケーション環境を提供しています。
ユーザ認証やデータへのアクセス権等、クラウド環境での基本的なセキュリティの機能を踏襲し、CORRESSAの機能が実現されています。

企業間のセキュアな情報交換が必要となる技術移転プロジェクトを効率的に進めるために、メールシステムではできないことが実現できるCORRESSAの利用をご紹介しましたが、技術移転プロジェクトでのメリットの多い情報交換のツールとして試験的に検討してみてはいかがでしょうか。

■    CORRESSA Webサイト
https://corressa.com
 
お問い合わせはこちらまで


 CORRESSA事業部    電話番号:045-514-3338
 メール:cloud-biz@cm-plus.co.jp

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