DMF 各国別 eCTD/eSubmissionの実際(作成・登録・更新・変更・LOA)【第1回】

2019/10/04 製造(GMDP)

はじめに
 医薬品を製造・販売にはその国の規制当局の承認・許可が必要です。その際には医薬品製剤のみならず、原薬・原材料に関する製造や品質に関する情報・知見・ノウハウを提供し審査を受けることになります。基本、原薬・原材料の製造業者は製剤販売をする製造販売業者に情報・知見・ノウハウを開示してそれを製造販売業者が申請書として当局へ承認・許可を行う仕組みになっています。製造業者は製造販売業者とビジネスをする上で製造ノウハウ等秘密情報を開示することで不利益を被ることになります。これは医薬品以外のビジネスではあまり見受けられません。
 この不利益を回避できる仕組みがDMF制度です。これはUSで発展し、EU、日本の三極及びカナダ等で細かい仕組みが異なるものの維持されています。原則的な仕組みは製造業者が原薬・原材料に関する製造や品質に関する情報・知見・ノウハウを各国規制に従ってあらかじめDMF登録しておくと、製造販売業者が規制当局に承認・許可を申請する際に、製造業者から製造販売業者への情報・知見・ノウハウの開示を必要としないことです。
 この仕組みを上手に利用できるのが、例えば日本で製造する医薬品の原料・資材を海外(特に欧米)で販売する時です。日本で製造する医薬品の原料・資材であってもその最終医薬品が承認・許可をうけて販売する国の規制を受けることになります。従って日本で製造する医薬品の原料・資材の最終医薬品の販売相手国の規制当局にDMFを登録しておくことにより、相手国の規制に適合させ、かつ最終医薬品の製造販売業者に日本で製造する医薬品の原料・資材の情報・知見・ノウハウを開示することなく申請ができます。
 ところが、実際に利用しようとするといくつかの課題があります、それは、各国各規制当局によりDMFの原則的なところは同じですが可能な登録対象、登録・維持の手続きの方法、フォーマット等が異なり実務上大変ややこしくなっています。また、最近はeCTD形式による文書作成と電子登録(eSubmission)が必須となりつつあり、その作成には従来の様に製造・品質・営業の知識だけでなくITに係る知識が必須となりました。
 以上を踏まえて実際に特定な国向けにDMFを作成・登録できる仕組みとスキルを説明していきます。

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執筆者について

宮原 匠一郎

経歴 1977年東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了。同年三井東圧化学㈱(現三井化学㈱)入社、大牟田工場、生物工学研究所にて原薬、蛋白゙及び医薬原料化学品のGMP下でのプロセス検討、企業化(合成、発酵、細胞培養)に従事。
1991年より本社医薬・バイオ事業部門にて新薬開発、医薬品子会社の事業管理を担当。
2000年より医薬関連の原料化学品事業を担当。2006年より品質保証部門に移り医薬関連原料化学品、精密化学品の品質保証を担当。
2011年5月退職、同年9月株式会社ファーマ・アソシエイトを設立。現在はDMFのeCTD/eSubmissionの作成・登録サポート、GMP代行監査、医薬・医療機器関連コンサルタントを業務としている。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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