GMP文書管理 ~Data Integrityを踏まえた文書・記録の作成と管理~【第4回】

2018/10/05 品質システム

1.文書管理規定
 第2回および第3回で解説したGMP省令で規定されている文書(製品標準書、基準書、手順書)の他、医薬品製造の過程で発生する記録書(GMP記録)も含め、その定義、要求事項について、自社製造所におけるGMP文書・記録の管理方法を「文書管理規定」として規定しておく必要がある。
 以下に、文書管理規定で明確にすべき事項につき解説する。
 
1.1 GMP文書とは(GMP適用範囲)
 医薬品の製造管理、品質管理において、GMPに規定された多数の文書・記録の作成保管が義務付けられている。全てのGMP文書は、承認書の内容を正確に反映したものでなければならない。また、品質保証の観点から、すべての記録書類は、QAにより精査され、疑義、間違いがないものでなければならない。
「GMP文書」とは、医薬品の製造管理・品質管理において、参照すべき文書およびそれらにおいて発生する全ての記録類である。注意点として、開発段階の文書(バリデーション報告書等で工業化研究の報告書を引用することがあるかも知れないもの)も、GMP文書管理に耐え得るものでなければならず、広義のGMP文書といえるのではないだろうか
 
1.2 文書体系
 GMP管理の対象となるすべての文書(各種記録様式を含む)を把握できるように、文書体系図を作成し、それぞれの文書の関係を明確にしておくことが重要である。第2回(作成すべきGMP文書)において文書体系図の例を示している。
 文書体系図では、それぞれの文書の位置付けを明確にするため、階層構造とすることが一般的であり、最近は、ICH-Q10(医薬品品質システム)を意識し、品質マニュアルを最上位にしていることも多い。
 
1.3 文書管理責任者
 GMP文書の管理を行うものとして、GMP文書管理責任者をあらかじめ任命しておかなければならない。また、文書管理責任者の責務および遂行しなければならないGMP業務を文書管理規定で明確にしておく必要がある。
 
1.4 GMP文書リスト
 文書管理責任者は、全ての文書を把握しなければならない。 把握すべき事項は、多岐にわたるため、GMP文書リストの作成は必須である。
 このGMP文書リストを基に、定期的な文書見直し漏れを防ぐことができる。また、文書自体のヘッダー/フッターに当該文書の有効期間(次回見直しまでの)を記載することで、見直し漏れ防止の工夫をしている製造所もある。
 

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執筆者について

新井 一彦

経歴 C&J 代表
化学系企業にてバイオテクノロジーを利用した医薬品の探索、開発研究に従事。その後、開発医薬品(無菌製剤)の製造工場立上げに製造管理者として関わりGMP組織体制、基本構想を構築した。
平成17年の改正薬事法完全施行に合わせ、新たに製造販売業を取得するため某ジェネリックメーカーの設立に関与。取締役信頼性保証本部長として総括製造販売責任者の責務を担った。
現在、C&J 代表として、講演、執筆、国内外のGMPコンサル業務活動を推進。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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