中国等海外原薬の品質確保と調達リスク回避の考え方【第5回】
5. 製造所監査に先立つ情報共有
5.1 共有すべき情報と共有の考え方
海外原薬の導入検討を行うにあたり、先に述べた品質評価と同様に重要となるのが製造所のGMP監査ですが、これを効率的かつ的確に進めるためには、事前に日本の薬事GMPの規制に関する情報を提供し要点を説明しておく必要があります。GQP省令(医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令:平成16年9月2日、厚生労働省令136号)及び、GMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令:平成16年12月24日、厚生労働省令第179号)はこれら規制の中心になるものであり、GQP省令は品質契約の締結や製造所のGMP監査(GMP実施状況の定期確認)の必要性を説明する際の根拠法令であること、また、GMP省令は海外製造所の場合も、日本の行政査察は、この日本のGMPを法的根拠として査察が実施されることを説明する上で重要です。
海外の製造所の場合は、当然ながら、その国のGMP規制が適用され、これを基本に日々の製造管理、品質管理が実施されているので、PIC/S-GMPにハーモナイズされてきている現在でも、実態として、細部ではその国固有の規制内容で運用されている部分がある可能性もあります。従って、上記のように日本のGMPに基づいて監査を進める必要があることを説明し理解を得ておかないと、監査の段階で予期せぬトラブルになりかねません。また、原薬製造所に関しては世界標準であるICH-Q7「原薬GMPガイドライン」への適合性確認も必要となるので、チェックリストを作成する場合などは、これら双方の要求事項が確認できる内容で整備しておく必要があります。ちなみに、ICH-Q7は、日本では、「原薬GMPのガイドライン」(平成13年11月2日、医薬発1200号)として通知が発出されているのは周知のとおりです。このほか、監査先製造所への提供が望まれる重要な規制情報としては、外国製造業者認定、GMP適合性調査、原薬等登録原簿(MF)、および、国内管理人などに関する事項がありますが、単に、規制の要点を説明するだけでなく、それぞれに、原薬の貿易業務や品質確保を円滑に進める上で、どういう点で重要であるかということを、事例を交えて説明することが望まれます。
また、原薬の品質評価から採用までの業務フローについて、その概要を周知しておくことも大切です。特に、代替原薬の採否判断に要する品質評価の内容と所要時間を知らせておくことは重要です。これにより、監査以後に発生する重要業務のプロセスとそれに要する時間が先方に理解されるだけでなく、採否の最終判断の根拠や考え方もより的確に伝えることができ、採用に至らなかった場合でも先方の理解が得やすくなるでしょう。
5.2 GMP監査当日の再確認
上記のように、薬事規制を中心とした情報をGMP監査に先立ち周知しておくことが、監査を効率的に進める上で大切となりますが、特に重要な事項に関しては監査当日も会社概要説明の後などに、原薬導入の一連のプロセスとの関連に絡めて確認しておくと、先方もそれらをより身近なものとして理解してくれるでしょう。メールでの情報共有は一方的であり、関係者のどれだけの方がそれを確認しているか分からないので、関係者が一堂に会する場で少し時間をとり出席者の反応を見ながら説明することは非常に大事なことと言えます。
具体的には、製造販売業と製造業の二業態の関係に基づく品質保証体制を基礎に、製造販売業者の責任、GMP監査を行う必要性、新規に原薬を採用する際に必要となる薬事手続き、原薬の製造管理とMF登録の関係、品質契約の締結や外国製造業者認定取得の必要性などを、原薬導入のタイムスケールに関連付けて概説するとよいでしょう。これらに関し簡潔にとりまとめた資料を作成し共有しておくことで、それ以後の監査を含む一連の業務もより円滑に進むと思われます。
なお、上記のような規制情報のほか、事前共有が必要な事項としては、導入対象の原薬に固有の品質事項(例えば、所定規格外の物性要件)などが挙げられます。
5.1 共有すべき情報と共有の考え方
海外原薬の導入検討を行うにあたり、先に述べた品質評価と同様に重要となるのが製造所のGMP監査ですが、これを効率的かつ的確に進めるためには、事前に日本の薬事GMPの規制に関する情報を提供し要点を説明しておく必要があります。GQP省令(医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質管理の基準に関する省令:平成16年9月2日、厚生労働省令136号)及び、GMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令:平成16年12月24日、厚生労働省令第179号)はこれら規制の中心になるものであり、GQP省令は品質契約の締結や製造所のGMP監査(GMP実施状況の定期確認)の必要性を説明する際の根拠法令であること、また、GMP省令は海外製造所の場合も、日本の行政査察は、この日本のGMPを法的根拠として査察が実施されることを説明する上で重要です。
海外の製造所の場合は、当然ながら、その国のGMP規制が適用され、これを基本に日々の製造管理、品質管理が実施されているので、PIC/S-GMPにハーモナイズされてきている現在でも、実態として、細部ではその国固有の規制内容で運用されている部分がある可能性もあります。従って、上記のように日本のGMPに基づいて監査を進める必要があることを説明し理解を得ておかないと、監査の段階で予期せぬトラブルになりかねません。また、原薬製造所に関しては世界標準であるICH-Q7「原薬GMPガイドライン」への適合性確認も必要となるので、チェックリストを作成する場合などは、これら双方の要求事項が確認できる内容で整備しておく必要があります。ちなみに、ICH-Q7は、日本では、「原薬GMPのガイドライン」(平成13年11月2日、医薬発1200号)として通知が発出されているのは周知のとおりです。このほか、監査先製造所への提供が望まれる重要な規制情報としては、外国製造業者認定、GMP適合性調査、原薬等登録原簿(MF)、および、国内管理人などに関する事項がありますが、単に、規制の要点を説明するだけでなく、それぞれに、原薬の貿易業務や品質確保を円滑に進める上で、どういう点で重要であるかということを、事例を交えて説明することが望まれます。
また、原薬の品質評価から採用までの業務フローについて、その概要を周知しておくことも大切です。特に、代替原薬の採否判断に要する品質評価の内容と所要時間を知らせておくことは重要です。これにより、監査以後に発生する重要業務のプロセスとそれに要する時間が先方に理解されるだけでなく、採否の最終判断の根拠や考え方もより的確に伝えることができ、採用に至らなかった場合でも先方の理解が得やすくなるでしょう。
5.2 GMP監査当日の再確認
上記のように、薬事規制を中心とした情報をGMP監査に先立ち周知しておくことが、監査を効率的に進める上で大切となりますが、特に重要な事項に関しては監査当日も会社概要説明の後などに、原薬導入の一連のプロセスとの関連に絡めて確認しておくと、先方もそれらをより身近なものとして理解してくれるでしょう。メールでの情報共有は一方的であり、関係者のどれだけの方がそれを確認しているか分からないので、関係者が一堂に会する場で少し時間をとり出席者の反応を見ながら説明することは非常に大事なことと言えます。
具体的には、製造販売業と製造業の二業態の関係に基づく品質保証体制を基礎に、製造販売業者の責任、GMP監査を行う必要性、新規に原薬を採用する際に必要となる薬事手続き、原薬の製造管理とMF登録の関係、品質契約の締結や外国製造業者認定取得の必要性などを、原薬導入のタイムスケールに関連付けて概説するとよいでしょう。これらに関し簡潔にとりまとめた資料を作成し共有しておくことで、それ以後の監査を含む一連の業務もより円滑に進むと思われます。
なお、上記のような規制情報のほか、事前共有が必要な事項としては、導入対象の原薬に固有の品質事項(例えば、所定規格外の物性要件)などが挙げられます。
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