医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第58回】
国際化に対応する医薬品会社に必要なHSEとは?
「国内製薬企業に求められる供給安定性」
1.製薬企業のあるべき姿
製薬企業の国際化が進む中、企業の多様化を配慮した製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。日本国内外にて製薬工場で働く日本人も外国人も夫々の工場で日々働いています。GMPは医薬品の品質を守り、患者様を守っています。一方、HSEは工場や試験室で働いている従業員の皆さんを守るべく、グローバルスタンダードの安全や健康被害リスクを低減するマネジメントシステムで運用されています。近年、国際法によりサプライチェーンを含む従業員の健康被害を守る事が人権尊重の観点から「ビジネスと人権に関する指導原則」として取り組むことが厳しく求められています。国際法は日本国内の企業も遵守せねばなりません。GMPの場合でもJGMPだけを見ていては海外の医薬品業界では通用し無いのと同様、国際法にも適応する必要があります。
更に、安定供給を図るためには国に各製薬企業にクライシスマネジメントが充実していて、自然災害や人的災害に対しても必要なGlobal Standard、Guideline、必要な運用SOPが構築されていて教育や訓練がその規定に従ってすべての従業員(サプライチェーンを含む)に熟知されていなければなりません。生産業務が危機に晒されても優先順位の高い製品は、在庫を切らすこと無く供給出来る基盤をIncident(災害発生前)に全てを整えておくことが重要です。世界的に人権尊重の国際法である「ビジネスと人権に関する指導原則」を解釈すると重篤な患者様の命を守ることにもサプライチェーンと協力して貢献せねばなりません。これらを運用する上で国内製薬企業は最低限以下のGlobal Standard、Guidelineを構築運用出来ていなければなりませんね。
- クライシスマネジメント(GMP,HSE)
- Emergency Preparedness(緊急時対応)
- BCM(Business Continuity Management)の構築と訓練運用
- ICHQ9のリスクアセスメントにマネジメントシステムの追加
- Ergonomics Program(人間工学の採用により、従業員の健康を守る)
- Supplier Audit Standard(受託先監査)
- 人権尊重 プログラム
- 品質のTop 3Risksとその対策計画プログラム
- HSEのTop 3Risksとその対策計画プログラム
- サプライチェーン教育プログラム(グローバルスタンダードとして)
- 生産Operatorの機械保全技術スキル教育プログラム(機械保全技能士1級取得から)
- 自然災害と人的災害のリスクマネジメント
- Gap Analysis プログラム(コンプライエンス対応Global Standard)
- Loss Prevention プログラム(損害保険対策再構築グローバルスタンダード化)
- CMR物質取扱いプログラム
- Process Risk Assessment プログラム
- M&A対応プログラム
欧米に遅れをとっている事例は文化のみではありません。先ずは何事も自覚することが重要です。国内法をなんとか守れば良いという文化は陳腐化している事に気づき、国際的なレベルで仕事が出来る企業になって、グローバルスタンダードの構築を図ることがこれからの日本国内でもビジネスの継続には欠くことが出来ません。
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