製薬事業所のペストコントロール【第9回】
◆ 管理プログラムの開発(構築と改善) その2
前回につづき、ペストコントロールプログラムを構築し、継続的に改善していくための進め方、その手順について、事例を通じて解説する。
手順6 リスクアセスメント
この手順は、管理対象となる昆虫種が、工場施設の管理区域に侵入するリスク、あるいは製品・原材料・資材に混入する等のリスクについて、品質リスクマネジメントの手法(例えば、特性要因図、欠陥モード影響解析:FMEA)を用いて評価し、複数あるリスクの中で対応策を検討すべき優先度が高いリスクはどれか(合理的な予算配分)、そしてどのような対応策(管理手段)を選択すればリスクが低減するのか(効果的な手段の検討と選択)、などについて論理的且つ科学的に判断するために行う。リスクアセスメントの手法については、事務連絡「医薬品品質システムにおける品質リスクマネジメントの活用について」(平成29年7月7日)にも、ペストコントロールに品質リスクマネジメントの手法を適用した例示があるので、参考にするとよいだろう。
よく採用されている手法は、特性要因図やリスクアセスメントシートである(図1、2参照。事務連絡「医薬品品質システムにおける品質リスクマネジメントの活用について」より引用)。
図1.評価手法の一例(特性要因図)
図2.評価手法の一例(リスクアセスメントシート)
その他、FMEAや、FMEAの要素を簡素化した手法も有効な場合がある。リスクアセスメントに用いるパラメータとその関連情報は、例えば、施設の構造設備に関する完成図書の情報、構造設備に対する保守の情報、製造作業の観察、関連SOPに対するペストコントロールの側面からの評価、監視データの分析情報、逸脱発生時の記録の分析情報、管理対象昆虫類の動態情報などであり、これらの情報を利用してリスクアセスメントを行う。上述のパラメータに関連するリスク要因は特性要因図などで抽出し、各要因のリスクの度合いは重大性×発生確率×検出性の各要素において数値化し、その数値が低減する適切な対応策(管理手段)を新たに選択するか、あるいは追加・変更(手順7参照)、試行した後、再評価を行う。
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