【第3回】GCP-SOPライティング - GCPで必要なSOPと作成技法 -

2023/01/06 臨床(GCP)

前回に引続き品質マネジメントのSOPと症例報告書の変更修正に関する手順書について。

品質マネジメントのSOP
 ICH E6(R2)のAddendumでQuality Managementという用語が加わり、これを受けてGCPガイダンスの令和元年7月の改正、要するにICH E6(R2)が我が国でStep 5に進んだ時に「品質マネジメント」という言葉を記載した。これによれば、治験依頼者は品質マネジメントのためのシステムを履行することとし、手順書に基づく品質保証と品質管理等が品質マネジメントに含まれると記載している。すなわち、品質マネジメントに係る手順書の作成を求めているということになろう。そして品質マネジメントの詳細については同時に発出された品質マネジメントに関する通知、「治験における品質マネジメントに関する基本的考え方について」」(令和元年7月5日付け薬生薬審発0705第5号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)を参照することとされている。
 品質マネジメントに関する通知では、治験の品質マネジメントシステムにおいて以下に記載するリスクに基づく取組を利用するものとしている。
(1)重要なプロセス及びデータの特定
(2)リスクの特定
(3)リスクの評価
   ① エラーが発生する可能性
   ② 当該エラーが検出される可能性
   ③ 当該エラーが被験者の保護及び治験結果の信頼性に及ぼす影響
(4)リスクのコントロール
(5)リスクコミュニケーション
(6)リスクレビュー
(7)リスク報告
 品質マネジメントに係るSOPの作成が求められていると書いたが、これは単独のSOPである必要はなく、他のいろいろなSOPに含めても良いだろう。例えば、GCPガイダンスや品質マネジメントの通知と同時に「リスクに基づくモニタリングに関する基本的考え方について」(令和元年7月5日薬生薬審発0705第6号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)も発出されている。この両通知を参考にしてモニタリングのSOPに盛り込むことも可能であり、また総括報告書や治験実施計画などの作成に関する、いわゆるメディカルライティングのSOPの中に記述しても良い。
 2022年7月にPMDAから「リモート調査に伴うクラウド等システムのフォルダ構成案」が公表された。この中で品質マネジメントに関するフォルダの留意点として「品質マネジメントの履行については、現状モニタリングに関連する活動を中心に確認しておりますので、取組みが多岐にわたる場合にはモニタリングに関連する文書のみご提示いただくことで問題ありません」と記載されている。このことからも、少なくともモニタリング手順書やモニタリング計画書に盛り込む必要はあろう。
 

 

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執筆者について

大場 誠一

経歴

株式会社エスアールディ 信頼性保証室 参与
旧GCP施行当時から国内の製薬企業で試験監査室長としてGCPとGLPの監査を担当。その後の欧州系製薬企業では信頼性保証室長としてGCPとGLPの監査の他、GMPとGPMSPの監査に携わる。そして後の米系CRO(開発業務受託機関)ではQA DirectorとしてGCP監査の責任者。現在は国内CROでGCPと臨床研究の監査、さらにGCP教育やSOPライティングの受託業務を専門としている。またGCPに関連した執筆や多くのセミナーでの講演活動、さらにDVDやe-ラーニングを用いたGCP教育に携わるなど、30年以上にわたってGCPに深く関わり続けている。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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