改訂アネックス1が求める「汚染管理戦略(CCS)」
EUの「GMPガイダンス アネックス1」(PIC/Sのアネックス1も同じ内容)が改訂され、「汚染管理戦略(CCS:Contamination Control Strategy)」と呼ばれる、汚染対策の包括的な戦略の策定が求められている。このアネックス1の目的は、その第1章「適用範囲」に記載されているように、無菌製品の製造のためのガイダンスを提供することにあるが、このガイダンスには、「汚染管理戦略」、施設設計、クリーン・ルームの分類、クオリフィケーション、バリデーション、モニ タリング、作業員のガウン着用など、無菌であることを意図していないが、微生物、微粒子、エンドトキシン等の汚染の管理が重要であると考えられる製品の製造をサポートするために使用することができ、製造業者がこのガイダンスを非滅菌製品に適用することを選択した場合、どの原則が適用されたかを明確にし、原則への準拠を実証する必要がある」とされ、非無菌製品の製造業者にも、この「汚染管理戦略」の策定が求められる可能性がある。
2017年にアネックス1の最初の改定案が出されたときから、業界では、この「汚染管理戦略」が話題になり、どのようにしてこの戦略を策定するのか、という多くの質問が寄せられていたようで、これに対応するため、ECAは、特別に設置した「汚染管理戦略専門家タスクフォース」が、汚染管理戦略策定のガイドライン「How to develop and Document Contamination Control Strategy」やテンプレートを作成し、アネックス1の最終版が公開される前の2022年2月に公開した。
このCCSガイドラインの第1章「背景」には、「製造業者は、汚染を最小限に抑えるように、製造施設や設備、プロセスを設計し、適切な汚染管理を保証するためにQRM(品質リスクマネジメント)を実施すること。対策は、製造プロセスの様々な段階に影響し、他部門の責任になることも多いため、例えば、クオリフィケーションやバリデーション、プロセス管理、継続的な環境モニタリングなどで得られたデータが互いに関連付けられるとは限らない。このことは、逸脱やトレンド分析の結果として実施される是正措置・予防措置にも当てはまるが、全体像を把握するための戦略に統合されておらず、あらゆるクリティカル管理ポイントとあらゆる管理の有効性の評価も関連付けられているわけではない」、と記載され、職員の衛生や衣服の要件、清掃や消毒のプロセス、環境モニタリングや換気技術など、汚染をコントロールするためのさまざまな対策は、しばしば異なる部署に割り当てられるため、調整が難しく、ある分野の変更が他の分野に与える影響も十分に記録されていないことがしばしば見られた。汚染管理戦略は、これらの対策を連携させ、相互作用をより適切に記録し、システムに起こりうるギャップの分析を促進することを目的としている。
遅かれ早かれ、医薬品製造業者は無菌非無菌を問わずCCSを策定することが必須になると思います。ECAの汚染管理戦略策定ガイドライン「How to develop and Document Contamination Control Strategy」 を翻訳しましたので参考にして下さい。
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