データ・インテグリティに関する新しいWHOガイダンス

データの改ざん、偽装などデータに関する不適切な行為が世界的に問題になっている。FDAのワーニングレターでも、データ・インテグリティに関する指摘件数が増加する傾向にある。
データ・インテグリティは、「データ完全性」とも訳されているが、字面から受けるような大層な概念ではなく、データを測定する人やシステムが、データの再現性を確保するために、最低限、遵守すべきことであり、GMPの基本要件でもある。決して新たなGMP要件ではないが、データの取扱に関する問題が増える傾向にあり、データ.インテグリティに関するガイドランが様々な国際機関から発行されている。例えば、

■ MHRA GxP data integrity guidance and definitions, revision 1 (2018):https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/687246/MHRA_GxP_data_integrity_guide_March_edited_Final.pdf
■ FDA guidance for industry, Data integrity and compliance with Drug CGMP - Questions and Answers (2018):https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/data-integrity-and-compliance-drug-cgmp-questions-and-answers-guidance-industry
■ PIC/S Good practices for data management and integrity in regulated GMP/GDP environments (2021):https://picscheme.org/docview/4234

この中では、最後のPIC/Sのデータ・インテグリティ・ガイダンスには、GMP Platformに、脇坂 盛雄氏による詳細な和訳が全25回にわたって掲載されていますので参考にしてください。これらに加えて、昨年、WHOはこれらのガイドラインとのハーモナイズを図るため、旧 Technical Report Series, No. 996 「WHO Guidance on good data and record management practices」 (2016) を廃止し、新たに Technical Report Series, No. 1033 「Guideline on data integrity」(2021) に置き換えた。この新しいガイドラインでは、特に、データ・ガバナンス・プログラムの内容については、以下のように、非常に広範囲に渡って扱われ、システムや規則の実施に対する上級管理者の責任が強調されている。

■ 経営陣の監督とコミットメント 
■ 品質リスク・マネジメントの適用 
■ データ保護法およびベストプラクティスの遵守 
■ クオリフィケーションとバリデーションの方針・手順 
■ 変更・事故・逸脱の管理 
■ データの分類・機密性・プライバシー 
■ セキュリティ・サイバーセキュリティ・アクセス・コンフィギュレーションの管理 
■ データベース構築、データ収集、データレビュー、ブラインドデータ、ランダム化 
■ 対策のためのデータ・インテグリティの異常、欠落、失敗の追跡、傾向分析、報告 
■ 商業的、政治的、財政的、組織的な圧力の防止 
■ 十分なリソースとシステム 
■ データ・インテグリティと効果的な管理をサポートする適切な環境を促進するための作業量と設備 
■ モニタリング、■ 記録管理、■ トレーニング 
■ データの完全性、製品の品質、患者の安全性の重要性の認識

詳細は、WHOの新しい「Guideline on data integrity」を対訳の形にして添付しましたので参考にしてください。
 

 

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