知的生産性を革新する組織構造・空間構造【第3回】

2016/12/22 施設・設備・エンジニアリング

4.組織と知的生産性
コミュニケーションの重要性については、研究開発のみならず、その他あらゆる団体の社会活動、創造活動にとって不可欠のものであることは周知の事実である。しかし先に述べたようにコミュニケーションとは目的を持った組織コミュニケーションである。
知的生産において組織が何故重要かといえば、組織のIQは個人のIQをはるかに超える可能性があるからである。
優れた情報、知識を個人が持っていてもそれだけでは革新的成果は生まれる可能性は低い。組織の中を流通することで更に高度化され、その中から革新的成果が生まれる可能性が高まるのである。
すべてのものに構造があるように組織にも構造がある。
組織構造は基本的に情報交換(コミュニケーション)と、情報を昇華、知識へと創造の仕組みでもある。



これは時代の経過と組織の構造の進化を表したものである。
ごく初期は少人数の個人の集まりであり、この場合情報は個人個人が持つ状態である。また、組織構造はない状態と言える。
しかし人口が大きくなると、社会組織が複雑となり、このような集権化した階層組織が形成されたのである。組織といえば多くの人が階層型の組織をイメージする。現在の固定的な階層構造は初期の時代、多くの人に上意下達で情報を伝達するために都合が良い構造である。しかし情報技術の発展により、情報の上下関係がなくなり、誰もが同じネットワークの一員になると、必然的に情報上の組織は分散ネットワークとなる。さらに情報テクノロジーの加速度的発展は情報の量とスピードが飛躍的に増大させ、情報処理は既に人間ではできない時代になっている。処理された情報が統合された情報として複合的意味を持ち、その上に様々な決定が行われる。
情報伝達は分散ネットワークになっていても組織構造のまでは、分散ネットワークにならない。組織はコミュニケーションだけで成り立のではない。
機械的な情報伝達技術だけでは、質の高い組織コミュニケーションは成立しない。
ダイレクト・コミュニケーションを個人と個人、個人と組織、組織と組織とするためには組織の多くの人と知り合いにならなければならない。これは単なる知り合いということではなく、組織の目的上、知り合いの能力や考え方など自分の仕事の関係でどのような存在なのかを知ることである。

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執筆者について

糀谷 利雄

経歴 1967年明治大学理工学部建築学科を卒業。
1982年大手エンジニアリング会社入社。
医薬を中心に、生産施設、研究所など多数のプロジェクトに参画し、高生産性を実現する施設のコンセプトを計画・設計する。
現在、株式会社シーエムプラス フェロー
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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