医療機器の上市を考える上で【第5回】
上市に向けた計画を立てるために
本稿では、時代が変化する中で、医薬品や医療機器などの開発から上市、そして上市以降もあらゆる面でサポートを行うために、新たに京都府として『薬事支援』を業務とし、京都府薬事支援センターを設置し、支援を行うこととしました。
その中で得た経験等を踏まえて、皆さまに参考となるような情報をお伝えできればと思っています。
1.QMS省令への適合、遵守
前回までの記事において、各種手続き関係の説明をさせていただきました。
その上で、度々、QMSという文言が出てきたかと思います。
我が国では、医療機器を製造販売する上で、「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(通称:QMS省令)に対する対応は避けては通れません。
QMS省令はどのようなものかを先ず説明させていただきます。
① 製造販売承認や認証を取得する上での要件
薬機法において例えば第23条の2の5で「医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売の承認」が示されています。
ここでは、医療機器を製造販売する上で、製造販売業者による承認の取得が求められていますが、同条第2項において承認の要件が示されています。
一~三(略)
四 申請に係る医療機器又は体外診断用医薬品が政令で定めるものであるときは、その物の製造管理又は品質管理の方法が、厚生労働省令で定める基準に適合していると認められないとき。
ここからもわかるとおり、上記の厚生労働省令の基準に適合しなければ承認が取得できません。
この厚生労働省令は次のとおりとされています。
(趣旨)
第一条 この省令は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 (昭和三十五年法律第百四十五号。以下「法」という。)第二十三条の二の五第二項第四号(第二十三条の二の十七第五項において準用する場合を含む。以下同じ。)及び第八十条第二項に規定する厚生労働省令で定める基準を定めるものとする
第23条の2の5第2項第4号の厚生労働省令で定める基準は、QMS省令であることがわかります。
そのため、その物の製造管理や品質管理の方法がQMS省令に適合しないと承認が取得できないことがわかります。
なお、認証においても同じような要件とされています。
ここからQMS省令に適合しないと、承認や認証が得られない、すなわち医療機器が製造販売できないこととなります。
これは何故でしょうか。
② 医療機器製造販売業者等の遵守事項
薬機法第23条の2の15「医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売業者等の遵守事項等」では、その名のとおり、製造販売業者等へ守っていただきたいことを示しています。
当該条項では、具体的な内容は示しておらず、厚生労働大臣は、「製造販売業者がその業務に関し遵守すべき事項を定めることができる」とされています。
上記の条項に従い定められた内容は薬機法施行規則に記載がされています。
薬機法施行規則第114条の54で、上記の薬機法第23条の2の15の遵守事項は、同規則第114条の58条第1項に従い、製造管理や品質管理を行うこととされており、この同規則114条の58条第1項で「製造管理又は品質管理の方法を、法第二十三条の二の五第二項第四号に規定する厚生労働省令で定める基準に適合させなければならない。」とされています。
法令は、その内容を読み解くのが難しいですが、要するに薬機法では、QMS省令の基準に適合させるよう、その遵守を求めています。
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