ICH Q7(原薬GMP)の最新の規制動向-Q11、EMA Q&Aを踏まえて-【第5回】

2016/09/21 製造(GMDP)

■これまでの掲載内容
1 ICH Q7A原薬GMPガイドライン発出の経緯とその後の規制動向について
 1.1 経緯
 1.2 ガイドラインの位置付けと日本への適用
2 最新の規制動向と今後の動き
 2.1 2000年代の規制の変遷
 2.2 EMA ICH Q7 Q&Aの発出
    (Q&A:Q7 1.1(序文)~2.2(品質マネージメント)):第2回掲載
    (Q&A:Q7 2.3(品質マネージメント)~4.2(構造及び設備):第3回掲載
    (Q&A:Q7 5.(工程装置)~7.2(原材料管理):第4回掲載

■今回
5 最新の規制動向と今後の動き(第5回)
 2.2 EMA ICH Q7 Q&Aの発出7.3(原材料等の管理)~11.1(試験室管理))
 
Q&A 
7. Materials Management(第7章 原材料の管理)
#ICH Q7 7.3
Question
供給業者の適格性確認のための原料ロットの「全項目試験」[ICH Q7, 7.31]とは、何を意味するか。
Answer
「全項目試験」には、当該原料の使用者によって、規制当局に提出した申請書に規定された全ての試験を含むこと。申請を要しない場合には、当該原料の使用者が作成した他の正式な規格書にある試験を含むこと[ICH Q7, 7.31]。原料の供給業者が発行する分析証明書 (CoA)は、必ずしも使用者の規格項目と合致することを要しない。
<見解と留意点>
回答の、「当該原料の使用者によって、規制当局に提出した申請書に規定された全ての試験」の中には、原薬メーカーが必要と考える全ての試験項目を含むこと。
 
#ICH Q7 7.4
Question
供給業者の評価には、実地監査が要求されるか。
Answer
実地監査は要求されていない。しかし、実地監査は供給業者を評価する有用な手段である。提供される原材料等又はサービスに対するリスクアセスメントは、監査戦略を策定したり、供給業者の継続的な評価を管理するのに利用できる[ICH Q7, 7.11 及び 7.31]。 
<見解と留意点>
7.11に「中間体・原薬の製造業者は、重要な原材料等の供給業者について評価する体制を有すること。」とあり、評価要件としての実施監査の必要性を問うたものである。原材料の製品品質への影響度に合わせ、重要度区分の基本的な考え方を図4に示した。
また、7.31 には「供給業者の承認を行う場合には、製造業者が規格に適合する原材料等を継続的に供給できる十分な根拠(例えば、過去の品質履歴)があることを評価すること。自社による受入検査の項目を減らす前に、少なくとも3ロットについて、全項目試験を行うこと。それとは別に、最低限として、全項目の試験を適切な間隔で行い、供給業者の試験成績書と比較すること。」ともある。7.11及び7.31は、原材料の重要度(注)に応じて供給業者を管理すべき、実地監査の代替と成り得る、重要評価項目とされた。#ICH Q7 Q7.2で述べた(前回第4回連載)、原材料の供給者管理とも関連する。
 (注)品質への影響だけでなく、供給リスクが高い原材料も含まれる。
  リスクに応じて適切に定めることが重要である。


図4.購入原材料の重要度管理

 

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執筆者について

高平 正行

経歴 エイドファーマ 代表
NPO-QAセンター 理事 事務局長
1979年塩野義製薬(株)入社。製薬プラントの立上げ、医薬品製造管理者、合成研究等の製造業務を経て、品質保証部へ転出。信頼性保証本部 品質保証部 次長として、GMP統括管理、GQP品質保証業務(出荷判定、逸脱・品質不良、変更管理、苦情・回収)、国内外にある自社製品関連170箇所製造所のGQP/GMP/QMS/CMCの信頼性保証、医薬品・診断薬・医療機器製造所のGQP/GMP/QMS適合性監査などを約10年間統括する。また、医薬品医療機器総合機構一変・軽微変更、製品管理業務、国内外の医薬品品質保証ガイドライン等のカスタマイズ化にも従事する。
2011年12月より(株)エースジャパン 取締役 製品戦略担当。医薬品の原薬、中間体を中心とした品質保証、製造・試験、製造販売管理全般にわたり経営の視点から携わる。
2016年6月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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