米国/NJ便り-その1

2016/09/08 その他

2014年4月に退職後、米国ニュージャージー州に住まいを構えて2年が経過した。約35年前に単身赴任で住んでいた、Summitという町の近くに再び住むことになるとは想像もしていなかった。東海岸は出張でよく訪問していたので、生活習慣、国民性、文化、医薬・医療制度など理解しているつもりだったが、いざ実際に生活をしてみると今までの知識が表面的であったことにショックを受けた。最初の1年は、Condoの購入、銀行口座の開設、社会保障番号の入手、運転免許の取得、税申告、健康保険の取得(これが一番面倒だった)、などなど生活基盤を整えるのに奔走した年だった。2年目に入り少しずつ、毎日の生活が日本にいた時のように軌道に乗り始めた。これから数回にわたり、さまざまなトピックス(建築品質、医療健康保険制度、医薬品処方方式、調剤薬局、医薬品流通制度、新薬開発、イノベーション:Digital Healthcare/3D printer/Cold supply chain、将来の医薬品製造、バイオシミラー、などなど)について、私の「米国/NJ便り」をお読みいただければ幸甚である。
 
いま、手元に「2014年HSBC移住者調査(34カ国)」という資料がある。この資料によると34ヶ国中、最適な移住先の1位はスイス、日本は34ヶ国中18位、米国と英国は、それぞれ30位と33位であり、この数年政情不安から最下位になったエジプトに並んでいる。この調査は9,300人の海外移住者を対象に①生活の質、②経済、③子供の育てやすさについて意見を集計した世界最大の調査である。この中で日本は「子供の安全」についてはトップにランクしている。なぜこの資料を改めて読み返してみたかと言うと、2年前に移住の諸手続きのためにニューヨークの日本政府出先機関に出向いたとき、「退職してからアメリカで暮らすのは大変ですよ。遅くはありませんから、日本に戻りなさい。日本に移住を希望する人たちはお世話していますが、あなた達のように逆のケースは本当に稀です」と親切に(?)アドバイスをされ、米国の30位を思い出した次第である。結局、この出先機関は退職者に対する諸手続には殆んど知識がなく、私たちは、大変な苦労をしながら米国関係官庁への必要書類を1年がかりで提出した。日本の機関はニューヨーク駐在の会社員の諸手続きには慣れているが、退職者はお手上げのようであった。現在、新たに米国で永住権を取得するのはとても困難で、私たちの場合は種々の好条件が重なり、幸いにもグリーンカードを入手できた(機会があれば、後日このことについても触れたいと思う)。

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執筆者について

栄木 憲和

経歴 株式会社シーエムプラス 顧問
日本チバガイギー株式会社を経て、1994年バイエル薬品株式会社入社。1997年同社取締役(滋賀工場長)、2002年同社代表取締役社長、2007年同社代表取締役会長、2010年同社取締役会長を歴任し、2014年4月に退任。2014年6月株式会社シーエムプラス顧問就任。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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