はじめまして+製薬業界と品質システムとコンピュータ【第4回】

改正GMP省令とコンピュータ化

今回は流行り(?)に乗って、“改正GMP省令”をキーワードに、改正のポイントからコンピュータ化の関わり/活用案を、IT屋目線でまとめていこうと思います。この記事を書いているのが既に8月と、施行された後になってしまっているという為体ですが、継続して行っていく必要があるのが“省令対応”ですので、少しでも参考になれば幸いです。

改正のポイント、ISO視点
改正GMP省令の改正内容については、諸先生方が詳しくご紹介されているので、この記事では少し別角度から、“何故変わったのか”からアプローチしてみたいと思います。
“GMP省令”は、言わずと知れた『医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年12月24日厚生労働省令第179号)』ですが、タイトルにあるように、“医薬品や医薬部外品”の“製造や品質”管理業務に対する基準がまとめられた省令です。医薬品製造業の皆さんはこちらの省令を基準に、現場の業務に勤しんでおられますね。今回、その省令が久々に(漸く)変わるということで、その変更点を業務に反映させるべく、事前に多くの検討を重ねられたと思います。業務の基準となる省令ですので、改正されると多くの点で業務の変更を余儀なくされますしね。
では、“何故”今回の改正は行われたのでしょうか?
改正のトリガーとなったのは、やはり2014年のPIC/Sへの日本の加盟です。これにより、世界の医薬品の三極全てがPIC/Sに参加することとなり、漸く業界内での国際協調の流れが加速していくと考えられました。そんな中で、島国気質な日本という、“独自”の管理を行っている国のルールも、より国際的なルールへと歩み寄りが必要となってきます。今回の改正はまさに、その歩み寄りの結果です。そして改正点から見えてくるのが、“組織的な品質管理”が求められているという点。今までの日本は、どちらかというと“個の力(現場力)”で高水準な作業を行ってきましたが、海外の考え方からすると、稀なようです。国際的には、“個の力(現場力)”に頼るのではなく、“規律の力(組織力)”による業務遂行が一般的です。実際、今回の改正で出てきた“品質方針”と、それを具体化して現場に落とし込むための“品質目標”というキーワード。これらのキーワードこそ、組織をピラミッド状に考え、上層(経営層)から下層(現場層)へと落とし込んでいくトップダウン方式への変更を表しています。これは、今回の改正GMP省令の発端が“国際化”であることへと繋がっていると考えられます。

こちらは、かなり乱暴に図でまとめたものですので、イメージとして捉えていただくとありがたいです。このように、今回の改正の背景にある国際化には、PIC/S GMPからの影響があり、そのPIC/S GMPはその構成要素に“ICH Q10”を持ち、そのICH Q10の検討段階で参考にされたISO9001にまで遡ることができると考えます。そしてISO9001こそ、ピラミッド構造の文書体系を以て上位から下位へブレイクダウンされた規律を作り、品質管理へ向き合う組織を作る考え方となります。これこそ、今までの“個の力(現場力)”によって、どちらかというとボトムアップ式に品質管理を行っていた日本の医薬品業界において、その方向性が真逆に変わる大きな変更点ではないでしょうか。

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