医薬品の外観目視検査における要求品質の明確化のために【第7回】

2021/07/09 品質システム

行政が医療機関等では発見することができない外観不良以外の品質をどのように確認しているかを紹介する。

行政の実施する収去に伴う自主回収

1. 行政の実施する収去に伴う自主回収
 外観不良以外の品質(定量値、不純物、溶出性等)は、製品の出荷後、医療機関や患者さんでは試験しないので分からない。
 今回は、行政が医療機関等では発見することができない外観不良以外の品質をどのように確認しているかを紹介する。
 行政は、市場にある医薬品を収去(しゅうきょ)によりその品質を確認している。特に、ジェネリック医薬品の使用促進のために、これまで「ジネリック医薬品品質情報検討会」が担っていた役割を強化する方針を出している(日刊薬業 2016年9月12日)。
 各都道府県で収去された製品の規格分析にて、不都合があると連絡を受けることになるが、試験方法・手技に問題がない限り、製造販売業者は自主回収も検討しなければならない。

収去試験:販売されている医薬品を市場から抜取り、承認規格への適合性を確認するもの

 「後発医薬品80%時代」に向け、厚生労省が今年度から後発品の品質検査・公表強化に乗り出した。2020年度までにそれを集中的に行うための体制として、「ジェネリック医薬品品質情報検討会」(GE品質情報検討会)を司令塔に、品質試験検査体制を一元化した。同体制で、後発品の品質情報を有効成分ごとにまとめるデータ集「ブルーブック」の作成も担う。
 品質試験検査は従来、同検討会が年間約100品目を検証する「後発品品質情報提供事業」と、厚労省が都道府県などと連携する一斉監視指導の一環で年間約400品日を検査する「後発品品質確保対策事業」に分かれていた。一元化で、同検討会が品質試験の対象品目の選定から考え、重複などがないように調整し、効率的に試験を実施できる体制になる。効率的な体制にすることなどで検査対象は年間900品目以上にまで拡大する。

<参考:ジェネリック医薬品品質情報検討会>
 ジェネリック医薬品の品質に対する信頼性の確保は、厚生労働省が進める使用促進策の柱となっています。国立医薬品食品衛生研究所では、「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」と「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」の一環として平成20年に「ジェネリック医薬品品質情報検討会」を組織しました。 本検討会では有識者の協力を得て、ジェネリック医薬品の品質に関する情報について学術的観点から検討するとともに、必要な試験・評価を実施しています。
 以下に、ジェネリック医薬品品質情報検討会で実施している先発医薬品との同等性を確認した試験結果をまとめているリストの一部を紹介する。

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執筆者について

新井 一彦

経歴 C&J 代表
化学系企業にてバイオテクノロジーを利用した医薬品の探索、開発研究に従事。その後、開発医薬品(無菌製剤)の製造工場立上げに製造管理者として関わりGMP組織体制、基本構想を構築した。
平成17年の改正薬事法完全施行に合わせ、新たに製造販売業を取得するため某ジェネリックメーカーの設立に関与。取締役信頼性保証本部長として総括製造販売責任者の責務を担った。
現在、C&J 代表として、講演、執筆、国内外のGMPコンサル業務活動を推進。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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