実践! 医薬品開発のプロジェクトマネジメント【第11回】

2016/03/17 その他

 今回は、前回に続き「仕事の段取り」について考える。プロジェクトに関わる人の「ソーシャルスタイル」に合わせた「情報収集と根回し」、「コミュニケーション」の進め方について紹介する。
 
 プロジェクトが失敗する理由として「コミュニケーションの不足」と「リーダーの能力の不足」が最も多く挙げられる。今回は、前者について考えてみたい。「コミュニケーションの不足」が原因で下記のような困った事態を招いてしまうのは誠に残念である。
▷ 技術的能力(たとえば、ITリテラシー)の不足
▷ 経営側からの支援の不足
▷ リソース(ヒト、モノ、カネ、情報)の不足
▷ 納期(期限)対応の不備
▷ 課題対応の不備
 社外はもちろん、社内でも重要な「コミュニケーション力」について考えてみる。必要なテクニックやスキルを獲得して、日頃の業務にあたることが大切である。
 
 さて、権威者からの「情報収集」や意思決定者への「根回し」などに必要なコミュニケーションスキルをまとめてみよう。
 まず、情報収集の際のインタビューなどのテクニックとして、下記の事項が挙げられる。
✓ 面談相手の経歴(インターネットでかなりのことが調べられる)、性格や思考パターン(たとえば「ソーシャルスタイル」:「実践! 医薬品開発のプロジェクトマネジメント 第10回 仕事の段取り(1)」参照)など、十分な下調べを行い分析する
✓ 事前に面談内容、とくに質問項目を明確にしておく
✓ 答えやすい質問から進めて重要な質問項目は後半にする
✓ 拡散と収束の質問を繰り返す
✓ 面談中は相手の注意を引きつける
✓ 面談相手の話を理解していること(傾聴:うなずき あいづち)を示す
✓ 理解をより明確にするためにフィードバックする

 とくに、相手の性格や思考パターンの分析結果(たとえば、「ソーシャルスタイル」)に基づき、それに合わせた対応も必要となる。
✓ 気の短い人(「てきぱき」スタイル)に対しては、結論から先に述べ、気の長い人(「じっくり」スタイル)に対しては、理由から先に述べる
✓ 論理的思考を好む人(「りくつ」スタイル)に対しては、数値、データ、等の裏付け資料を提示し、直観的思考を好む人(「きもち」スタイル)に対しては、要点の絞り込みに配慮する

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執筆者について

熊谷 文男

経歴 筑波大学大学院客員教授、慶應義塾大学薬学部非常勤講師、東京薬科大学非常勤講師
1975年 中外製薬(株)入社。研究開発、プロジェクトマネジメント、人財育成などの業務を経験。米国駐在時には、国際開発も担当。国公私立大学、各種学会・セミナー、大手企業での講演や執筆は多数。現役水泳選手及びスキンダイビングインストラクター。製薬企業米国駐在員OB/OG会「アメリカファルマ会」会長、世界の難病の子供たちを救うNPO「荻田修平基金」 理事、就活支援組織「メディカルカレッジ」アドバイザリーボードメンバー、医薬品業界における「社会人基礎力研究会」アドバイザー、幼稚園理事長・園長、総合旅行業務取扱管理者、等。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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