薬機法改正 変革期か改革期か【第3回】

2021/01/22 医療機器

●要旨
 医療の姿が大きく変化する中で、私たちの暮らしも変化しています。患者さんの暮らしをしっかりと見つめる必要があります。また、シェアカルチャーが定着しつつある現代では、医療の世界にもその流れが到来し、変化が起きる可能性があります。地域包括ケアシステムの推進により医療が暮らしの中に溶け込み、その環境変化に気づくことが大切です。医療製品の開発に、社会の姿を投影することが求められます。
 
●はじめに 医療の大きな変化に気づいていますか
 新型コロナウイルス感染症の拡大、その対応によって、私たちを取り巻く医療の姿が急にはっきりしたと感じませんか。医療のバランスや資源など多くのの問題が見えました。実は人口減少によって前から起きていた問題です。
 近年の医療の価値観として、侵襲性の低いことが重視されていましたが、最近では、患者さんの生活も大事にする考えが加わっています。そして、私たちが医療を選ぶことも大事になりました。例えば、アドバンスケアプランニング「人生会議」があるでしょう。つまり、医療の自己決定という変化があります。

1 身の回りだけ見ていてはいけない
 このような時代にあっては、医療製品の開発の参考として、ご自身の身の回りで起きていることだけを想定していると大事なことを見落とすことが多いでしょう。例えば、都会と地方、温暖地と寒冷地、医療アクセスの良し悪しなどたくさんの違いがあり、選ばれる医療にも違いがあります。最近では、医療アクセスが良いと思われていた都会で、患者さんの孤立問題が目立ち始めています。多様なパターンを想定して、医療製品の開発をする必要がありますが、まずは、患者さんやその家族の暮らしに対して、強い関心を持たなければなりません。例えば、癌の治療を、働きながら行うのは特別なことではなく、薬機法改正にも取り込まれた通り、薬局の高機能化を行い、医療の支援を行うことになっています。
医療の環境整備にはまだたくさんの課題がありますから、これから真剣に取り組むべき分野です。あなたの取り組む医療製品のプロジェクトは、どんな人を対象としているか、深く考えてください。医療製品の開発において、私たちはユーザになれないことがほとんどです。ユーザ目線を持つために、強く関心を持ち、患者さんのコミュニティに耳を傾け、いろいろな現場をそっと観察してください。患者さんを取り巻く人々、ライフスタイル、社会にも目を配ることが求められています。

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執筆者について

吉川 典子

経歴 特定非営利活動法人医工連携推進機構 客員研究員 医工連携コーディネータ協議会会員
大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程にて生物学的人工肝臓をテーマに研究を行った後、製薬会社に入社し、開発企画実務を経験。兵庫県庁薬務課を皮切りに、保健衛生行政に携わる。政策研究などの経験も多い。医療機器センター調査部(PMDAの前身)にて、審査行政に関与。先端医療振興財団にて、振興業務に従事。神戸大学大学院医学研究科にて、プロジェクト支援を行った。また、各地の振興組織、大学研究機関での支援を長年行っており、医療従事者の目線を活かしたコラボ、参入促進や新規性の高い医療技術への支援に強みがある。
デザインに強い関心があり、京都造形芸術大学に在学中。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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