2019年のFDAの査察の傾向とその分析(2)

2020/12/25 製造(GMDP)

著者は、2019年6月にファーマテックジャパンにて、2019年のFDAの査察の経口とその分析を発表している。今回は、その続編として2019年のFDAの活動の分析を試みる。
FDAは、アメリカ国民の健康福祉を維持するための手段としての医薬品の品質・安全維持のために医薬品・医薬原薬の製造所を査察して、承認済みの医薬品の継続的な輸入を認めるかを判定している。その適合結果は公表していないが、GMP/CFRへの違反等が観察された場合、その文書、さらに不適合と判断された製造所にはWarning Letter(以下WL) の様式で、警告書を製造所に郵送すると同時に、 FDAのHPに公開している。
今回は、FDAが公開している2019年のWL、2019年度の査察時の指摘事項#483、FDAのORAの報告書を基に、FDAの査察傾向を分析する。

2019会計年度にCDERが行った査察で発出された#483は、799件、項目数は7330項と公表されている。このことから、2019会計年度のUSならびに海外の査察総数は1000件と推定される。<注:稀ではあるが#483が発出されない場合もある為、#483の数よりも査察件数は多いと推定される>
https://www.fda.gov/media/132571/download

2019年のWarning Letterの発出
この査察の結果。観察事項(通称#483)に対する改善計画、CAPAが不十分と判断された場合発効される、CEDR、査察部門Office of Manufacturing Qualityが発出した2019年のWarning letter(WL)は53件である。従来、CDER は、US国内の既存の製造所は、法律違反等でない限り、査察は行っていないが、2019年には、GMP違反で、9件のWLを発出している

https://www.fda.gov/drugs/warning-letters-and-notice-violation-letters-pharmaceutical-companies/warning-letters-2019#OMQ
これらの53件のWLに記述された違反事項を集計すると、163項にもなる。その項目を分類して、トップ10項目を順に纏めた結果を表1に示す. 併せて、FDAが提案されたCAPAを認めなかった事例も付記する。さらに、2019年では、CFR210,211に対する違反ではなく、ICH Q7 17.2 ならびにCFR314.97(a) and 314.70(c)(6)(i))に反することで、WL が発出されている。特にICH Q7 17の内容に関して引用することは、珍しいことであった。

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執筆者について

古澤 久仁彦

経歴 1978年住友化学工業に入社、創薬、安全性等に従事。2004年三井農林(株)に入社APIの製造部門にて、信頼性保証部長を歴任、2010年テバ製薬(旧大洋薬品)に入社、信頼性保証部門、部長としてvendorのGXP全般の監査を担当。2014年退社。
製造所のGM(X)P監査・risk評価並びGMP管理(製造管理、品質保証・管理、文書管理)の実践的対応、risk分析、PMDA/FDA査察の実践的対応を得意とする。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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