GMP Platform PIC/S解説シリーズ:PIC/S GMPガイドPart I(5)

2012/10/15 製造(GMDP)

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PDFファイル『PE 009-9 (Part I) PIC/S GMP GUIDE (PART I: BASIC REQUIREMENTS FOR MEDICINAL PRODUCTS) 2009-09-01』
 
※解説・翻訳のみを参考とするのではなく、必ず原文のご確認をお願い致します。
 
【解説】
 文書化という概念は、欧米人の発想から生まれた物であり、どちらかというと日本人にはなじみにくい考え方です。日本の物づくりは、改善活動に代表されるように、現場でコツコツと改善を繰り返し、結果として高品質な製品を作り上げることを得意としてきました。しかし、医薬品は、電気製品のような他の工業製品と違って、最終試験だけであるいは消費者が直接それを使用してみて、その性能を評価することができません。この状況を補うために、医薬品製造の世界にGMPやSOP、Validationという概念が導入されてきたわけです。ICHやPIC/Sに代表されるように、国際的Harmonizationは世界の流れです、避けて通るわけにはいきません。
 
 GMPを実践するうえで、文書化及び文書管理システムは欠かすことのできない基本的な要素です。GMP文書の重要性はAccountability(説明責任)とTraceability(遡及性)に代表されます。すなわち、製造に関する活動や作業について何故そうするのか説明することができ、実際に実行した活動や作業を記録することです。何故そういう作業をしたのかを証明する唯一の証拠が文書・記録です。医薬品製造の世界では、「そうするのが常識だった」とか、「不文律だったとか」という言い訳はもはや通用しません。
 
 皆さんの工場にはGMP関連の文書がたくさんあると思いますが、本棚の隅で眠っていませんか。文書の最新版管理はできていますか。誰にも利用されないような文書は不要です。日本もそろそろ形式的な文書つくりから脱却して、必要なときにいつでも閲覧でき、誰もが活用できる分かり易い文書づくりと、文書管理システムの構築を目指して、積極的に、文書化技術を改善していく必要があると思います。

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執筆者について

中尾 明夫

経歴

株式会社シーエムプラス フェロー。
GMP Platform責任者。
1976年田辺製薬(株)入社。有機合成化学研究、プロセス化学(工業化)研究に従事後、品質保証部長、取締役生産本部長、常務取締役経営企画部長を歴任、合併後、田辺三菱製薬(株)常務執行役員製薬本部長。
FDA査察対応やPDA活動を通じ、「GMPはサイエンス」と確信。GMP教育の洗練化を目指す(株)シーエムプラスの企業理念に共感し、2011年(株)シーエムプラスに入社、2012年5月取締役副社長就任。2018年4月より現職。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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