医薬品製造業者にとってのBCM(事業継続マネジメント)【第1回】

2012/10/09 製剤

はじめに
 
 東日本大震災が起こってから、早1年半が経とうとしています。そして今、国民の大半が、原発の安全性に疑問を持ち、再稼働に懸念を持っています。電気事業連合会の長期試算では、52基の原子力発電所の廃棄物を含めた処分費用は約30兆円としています。同規模の経済的損失が、新型インフルエンザの発生による損失と言われています。阪神・淡路大震災や東日本大震災などの大規模地震と新型インフルエンザの発生については、類似点と相違点があります。類似点では、いつ起こるか分からない(いつ起きてもおかしくない)、誰にも予測できない点です。一方、相違点は、新型インフルエンザによるパンデミックは世界的(日本全体)に波及しますが、地震による被害は、その地域が限定的です。
 これまで、日本は、地方公共団体を含め、防災活動に取り組んできました。しかしながら、東日本大震災のような津波による被害を未然に防ぐことは困難であることが分かり、防災から減災という考え方に変わりました。新型インフルエンザによる被害についても、それを未然に防ぐことは困難でしょう。しかし、その被害を最小限に抑えることはできます。被害を最小限に抑えるために、私たちは、日頃から何をすべきかを検討し、action plan(行動計画)を策定することが重要であります。
 BCM(事業継続マネジメント)とは、BCP(事業継続計画)の策定から、その導入・運用・見直しという継続的改善を含む、包括的かつ統合的な事業継続のための管理手法ということができます。ここでは、参天製薬で検討した内容を紹介しながら、BCM構築の基本を解説したいと思います。

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執筆者について

和賀 克公

経歴 ハーモニー・マネジメント・コンサルタント 代表。
1974年川崎重工業(株)入社。P&Gを経て1994年参天製薬(株)入社。GMPプロジェクトのリーダーとして、ハード面(設備)、ソフト面(文書管理)を強化する。その後、取締役生産本部長、取締役常務執行役員生産物流本部長、取締役社会・環境担当を歴任。
GMPの推進、新工場建設、グローバル生産体制の戦略立案、またCSR(企業の社会的責任)推進、環境マネジメント(EMS)に携わる。2009年7月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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