新型肺炎が医薬品産業に与える影響への各国対策(続報)

2020/03/17 製造(GMDP)

余 知暁

3月11日時点、114ヵ国において11.8万人のCOVID-19による新型肺炎患者が確認された。今後、国および患者の増加が見込まれるので、WHOは慎重を期し記者会見会でCOVID-19による新型肺炎を「パンデミック」と認定することを公開した。そして、コロナウイルスによるパンデミックは初めてであることも表明した。確認された11.8万人の患者のうち、90%が中国、イタリア、イランおよび韓国に存在する。ただし、中国新規患者数は大幅に下げられ、10人/日になっている。その他、フランス、スペイン、ドイツ、米国の患者数は全て1000人以上である。
中国は世界のAPI市場の内、約18%を供給している。新型肺炎の爆発的感染により、通常7日間である春節休みは10日間に延長した。感染の深刻な湖北省以外は、1月24日~30日から2月2日に伸びた。それぞれの感染状況により、製造等に関連する復帰時期は、地域によって多少異なっている。政府が公開した各データによると、江蘇省、浙江省、山東省、四川省など製薬企業の多い省では、企業の作業復帰率が90%以上である。新型肺炎は中国全国の医薬品の製造に影響を及ぼしているが、政府より発表された正確なデータは未だない。3月中旬に、中国政府は29個の調査チームを派遣し、各省の作業復帰状況を調査すると言われている。医薬品工業は優先的に製造を開始できる産業である。また、中国国内の新型肺炎も収束してきているようであり、武漢以外の湖北省企業も続々復帰しているため、今後、医薬品製造量は正常に戻ると考える。
3月3日時点において、各国は、医薬品欠品の影響を多少受け、パニックに落ちている。インド商工省(India Ministry of Commerce & Industry)は、26品目のAPIおよびそのAPIで製造した最終製剤の輸出制限を公表した。この26品目の物質は主に、抗生物質、抗炎症薬、抗ウイルス薬、そしてそれ以外に数種類のビタミン類を含んでいる。この輸出制限は、公表日から、更なる命令がある日まで有効である。
 

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執筆者について

余 知暁

経歴 株式会社シーエムプラス中国リエゾンオフィス所長、GMP Platform コンサルタント。
2005年瀋陽薬科大学を卒業、同年日系大手エンジニアリング会社に入社。GMP部門のバリデーションエンジニアとして、日本において新設医薬製剤工場設立におけるバリデーション業務、DQ/IQ/OQ要領書の作成に従事。2010年上海東富龍科技股分有限公司入社。凍結乾燥機のエンジニアリング業務での通訳及び日中間における各種契約事項の調整に携わる。2013年株式会社シーエムプラスに入社。 PMDAによる中国製薬企業原薬工場GMP調査での通訳経験を複数回有し、中国語、日本語、英語と三ヶ国語を扱う。
2018年には中国CFDA(現NMPA)が主催する『日本のGMP査察システムに関する検討会』にメンバーとして参加。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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