実践! 医薬品開発のプロジェクトマネジメント【第4回】
前回は、各プロジェクトを統括するまとめ役「PMOの役割」について述べた。今回は、医薬品開発において最も難しいと言われている「意思決定」について述べる。意思決定に関わる人々が、俗人的、恣意的、意図的な決定を避けて、大多数が頷けるような論理的、合理的、体系的な決定をするにはどうすればよいかを考えてみたい。なお、最近は金融オプション・プライシング理論を実物資産に応用するリアル・オプション法が注目されている。今回は触れないが、柔軟な投資オプションの価値を評価する手法として知られている。競合他社の参入や想定外の薬価引き下げなどの偶発的な外的要因に関して有用性は認められるものの、その手法の理解の難しさからか導入している企業はほとんどなく、汎用されるまでにはさらに年月が必要と思われる。
すでに述べたように、医薬品開発は不確実性が高い。このような状況下での事業性評価と開発意思決定に際し、恣意的な判断を排除するため、「多くの主観的な意見の集まりが客観的な意見となる」との前提で、社内外の権威者を集めて徹底的な議論を基に決めて行く。社内外の権威者とは、製剤・薬理・安全性・生産・臨床・営業・市場分析など各専門分野のことを最も熟知している者であり、必ずしもその開発品に詳しくなくても良い。社内の権威者を原則とするが社内に見つからない場合は社外の権威者でもやむを得ない。GLP試験や臨床試験に入る前に開発の意思決定をするような大事な場合、あるいは、権威者がこの作業に慣れていない場合には、一週間掛けて作業を行う。すなわち、権威者を集めて開発品毎にTPP(Target Product Profile:目標製品プロファイル)を作成・文書化し、事業性評価(投資効率、期待事業価値、開発費、要員、上市時期、等)をすることが有効である。FDAが定めたTPPの構成要素としては、予測される効能・用法、用量・投与形態、剤形・力価、使用禁忌、注意・警告、有害反応、医薬品相互作用、特殊患者集団での使用、薬物依存性、過量投与、組成・性状、臨床薬理、非臨床毒性、臨床試験、参考文献、供給・保管・取扱方法、患者相談窓口情報などである。開発のステージにもよるができうる限りTPPの各要素を取り決める。
まず、考えられる開発シナリオを全て挙げる。そして、各シナリオの成功確率、期間、コストをHigh case(楽観的な予測)・Base case(最も起こりうる予測)・Low case(悲観的な予測)に分けて予測する。なお、High caseとLow caseについては、生物統計学的な有意水準5%を基に、20回に1回起こるような事象を考えてもらうようにする。したがって、将来、Low case以下の事象が出現した場合には、ただちにGo/No Go判断の意思決定をすることになる。さらに、それらを基に将来に生み出す毎年のキャッシュフローの価値を一定の割引率を用いて計算し、現時点での期待事業価値eNPV(expected Net Present Value)を算出して評価する。具体的な手順は下記の様になる。
すでに述べたように、医薬品開発は不確実性が高い。このような状況下での事業性評価と開発意思決定に際し、恣意的な判断を排除するため、「多くの主観的な意見の集まりが客観的な意見となる」との前提で、社内外の権威者を集めて徹底的な議論を基に決めて行く。社内外の権威者とは、製剤・薬理・安全性・生産・臨床・営業・市場分析など各専門分野のことを最も熟知している者であり、必ずしもその開発品に詳しくなくても良い。社内の権威者を原則とするが社内に見つからない場合は社外の権威者でもやむを得ない。GLP試験や臨床試験に入る前に開発の意思決定をするような大事な場合、あるいは、権威者がこの作業に慣れていない場合には、一週間掛けて作業を行う。すなわち、権威者を集めて開発品毎にTPP(Target Product Profile:目標製品プロファイル)を作成・文書化し、事業性評価(投資効率、期待事業価値、開発費、要員、上市時期、等)をすることが有効である。FDAが定めたTPPの構成要素としては、予測される効能・用法、用量・投与形態、剤形・力価、使用禁忌、注意・警告、有害反応、医薬品相互作用、特殊患者集団での使用、薬物依存性、過量投与、組成・性状、臨床薬理、非臨床毒性、臨床試験、参考文献、供給・保管・取扱方法、患者相談窓口情報などである。開発のステージにもよるができうる限りTPPの各要素を取り決める。
まず、考えられる開発シナリオを全て挙げる。そして、各シナリオの成功確率、期間、コストをHigh case(楽観的な予測)・Base case(最も起こりうる予測)・Low case(悲観的な予測)に分けて予測する。なお、High caseとLow caseについては、生物統計学的な有意水準5%を基に、20回に1回起こるような事象を考えてもらうようにする。したがって、将来、Low case以下の事象が出現した場合には、ただちにGo/No Go判断の意思決定をすることになる。さらに、それらを基に将来に生み出す毎年のキャッシュフローの価値を一定の割引率を用いて計算し、現時点での期待事業価値eNPV(expected Net Present Value)を算出して評価する。具体的な手順は下記の様になる。
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