再生医療等製品の品質保証についての雑感【第5回】

はじめに
前回までは原材料等や工程資材について雑感を述べてきましたので、今後では工程設計についてお話ししたいと思います。ただその前に、本稿では、一般的なGMP適合確認に向けた活動と、再生医療等製品のGCTP適合体制構築に向けた活動におけるギャップについてお話しをします。内容としては、第2回のお話しと重複する部分もありますがご了承ください。
● GMPとGCTPの適合確認では何が異なるのか?
筆者がセミナーなどで講師をさせていただくとき、よくGCTP適合確認に向けた監査のポイントについて、GMPとの違いを解説してほしいと言われますが、いつもどこから何を説明すべきか困ります。それは、もちろん再生医療等製品の適応が多様性を有する治療であり、患者さんの自己細胞由来製品からマスターセルバンクを有する同種iPS細胞由来製品まで、原材料の管理や、無菌操作環境の維持管理、最終製品の形態、保存温度や使用期限、製品の物流などが製品ごとに異なるため、ケースバイケースの対応が主体であることが理由の1つとなります。例えば、製品(治療方法)によっては、製造方法や工程操作のプロセスバリデーションの計画手順などが十分に確立できていないことが挙げられます。しかしながら、それらはGCTP(GMP)の適合確認の要件がGMPと異なることの説明の根拠ではありません。
GCTP省令における要件は、実際にGCTP省令の各条(図1)を確認していただければご理解いただけると思いますが、GMP省令との違いはほとんどありません。GCTP省令で新たに追加されたという「品質リスクマネジメント」も、「製品の品質の照査」も、いずれもGMPにおいて新規なものとは言えません。また、ベリフィケーションについても、条文(第14条)には「バリデーションを行うこと」と記されており、あくまでも、やむを得ない理由によりバリデーションを行うことができない場合においてのみ採用が可能な代替措置との位置づけです。すなわち、GCTP省令における監査のポイントは、GMP省令における監査のポイントとほぼ差異は無いものと考えています。

2ページ中 1ページ目
コメント
/
/
/
この記事へのコメントはありません。
コメント