臨床現場の再生医療【第2回】
2018/10/05
再生医療

再生医療関連法の整備とともに謳われた「再生医療の実用化」。その中で、実際多くの企業体の参入がなされつつある再生医療業界であるが、実際にこの技術を「医療」として提供する側である臨床現場の考え方・捉え方は、けして情報が多くない。本稿では、現在の医療機関・臨床現場における「再生医療に対する考え方」を軸として、本邦の再生医療(等)の位置づけをゆるっと見渡している。
前回は「再生医療」の中に大きなふたつの潮流があり、その間には埋められない「なにか」が存在しているのではないか、というところで話を閉じた。法的には同じ再生医療(等)とされながら、歴史的には大きく異なる「これから実用化を目指す再生医療」と「すでに実用化していた再生医療」。今回はこのふたつの潮流をさらに詳しくカテゴリ分けすることで、「なにか」がより浮き彫りになってくればよいと考えている。
▽ふたつの再生医療における差―①住人の違い
言わずもがな、前述の「これから実用化を目指す再生医療」と「すでに実用化していた再生医療」というふたつのカテゴリは、現時点ではそのまま、再生医療等安全性確保法における「研究」「治療」という区分にぴったりとあてはまる。特に前回紹介したがん免疫細胞療法などは、国内外含め臨床上の実績も多々あったため、低リスク再生医療という分類さえ得て、治療区分で多く用いられているのが現状だ。
医薬品・医療機器界隈でいう再生医療は、どうしても「研究」たる「これから実用化を目指す再生医療」のイメージが強くなる。なにしろ「治療」を行えるのは医師に限られているし、その医師がこれまでの臨床的背景をもって安全性を唱える方法こそが、現行法制化の「再生医療(治療区分)」なのだから、医薬品・医療機器分野が「治療」に踏み込める余地は非常に少ないと言っていい。よって研究のフィールドで論を積み重ねる人間にとって、実用化とはあくまでも「製品化」を指す場合が多いのではないか。再生医療等製品として結実させることのできない技術は、自分たちの手元から大勢の人に届ける道をふさがれてしまうに等しいのだ。
このように、道半ばの「これから実用化を目指す再生医療」であるから、たった今患者と向き合う中でまさに「再生医療(治療区分)」を行っている医師とは、実用化のイメージすら共有されていないということになる。臨床フィールドにいる者にとっては、患者を治療できてこそ「実用」だ。それも、遠い未来の話では困るのだ。
研究フィールドと臨床フィールドは、基本的に住人が異なっている。
(勿論、研究を臨床の傍らで続ける医師や、治療に寄りそう研究者も存在するわけだから、完全に二分割ができるわけではないだろうが、二足の草鞋を履くのが難しいことは、周知のとおりである。また蛇足ながら、ここでいう研究は、医師が治療を前提に行なう観察研究を除いている。臨床研究法でも観察研究は適応外である)。
前回は「再生医療」の中に大きなふたつの潮流があり、その間には埋められない「なにか」が存在しているのではないか、というところで話を閉じた。法的には同じ再生医療(等)とされながら、歴史的には大きく異なる「これから実用化を目指す再生医療」と「すでに実用化していた再生医療」。今回はこのふたつの潮流をさらに詳しくカテゴリ分けすることで、「なにか」がより浮き彫りになってくればよいと考えている。
▽ふたつの再生医療における差―①住人の違い
言わずもがな、前述の「これから実用化を目指す再生医療」と「すでに実用化していた再生医療」というふたつのカテゴリは、現時点ではそのまま、再生医療等安全性確保法における「研究」「治療」という区分にぴったりとあてはまる。特に前回紹介したがん免疫細胞療法などは、国内外含め臨床上の実績も多々あったため、低リスク再生医療という分類さえ得て、治療区分で多く用いられているのが現状だ。
医薬品・医療機器界隈でいう再生医療は、どうしても「研究」たる「これから実用化を目指す再生医療」のイメージが強くなる。なにしろ「治療」を行えるのは医師に限られているし、その医師がこれまでの臨床的背景をもって安全性を唱える方法こそが、現行法制化の「再生医療(治療区分)」なのだから、医薬品・医療機器分野が「治療」に踏み込める余地は非常に少ないと言っていい。よって研究のフィールドで論を積み重ねる人間にとって、実用化とはあくまでも「製品化」を指す場合が多いのではないか。再生医療等製品として結実させることのできない技術は、自分たちの手元から大勢の人に届ける道をふさがれてしまうに等しいのだ。
このように、道半ばの「これから実用化を目指す再生医療」であるから、たった今患者と向き合う中でまさに「再生医療(治療区分)」を行っている医師とは、実用化のイメージすら共有されていないということになる。臨床フィールドにいる者にとっては、患者を治療できてこそ「実用」だ。それも、遠い未来の話では困るのだ。
研究フィールドと臨床フィールドは、基本的に住人が異なっている。
(勿論、研究を臨床の傍らで続ける医師や、治療に寄りそう研究者も存在するわけだから、完全に二分割ができるわけではないだろうが、二足の草鞋を履くのが難しいことは、周知のとおりである。また蛇足ながら、ここでいう研究は、医師が治療を前提に行なう観察研究を除いている。臨床研究法でも観察研究は適応外である)。
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