EU域内での医療用医薬品の包装表示:固有記号、改ざん防止機能の義務化

2018/09/14 製造(GMDP)

EMAは、2017年に発効したEU directive 2001/83の実運用を2019年に向けて、製薬各社の準備対応を補助するために、Q&Aを発出した。その内容より要点を抽出して、医療用医薬品の包装表示の概要を解説する。今後、EUに本邦もしくはCMO等から輸出される医薬品(最終包装形態)にも適用されるので、関連各社の対応準備の参考になれば幸甚である。
このEU Directiveの目的は、EU 域内で流通している、増加傾向にある 偽薬、不正規輸入医薬品の排除することである。正規品を検証・流通によって、患者の安全を保護することである。
 
法令;Directive 2001/83/EC of the European Parliament and of the Council by laying down detailed rules for the safety features
http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32016R0161&from=EN
 
実施細則Implementation plan for the introduction of the safety features on the packaging of centrally authorised medicinal products for human use
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Other/2016/02/WC500201413.pdf
 
Q&A
SAFETY FEATURES FOR MEDICINAL PRODUCTS FOR HUMAN USE QUESTIONS AND ANSWERS - VERSION 9
https://ec.europa.eu/health/sites/health/files/files/falsified_medicines/qa_safetyfeature_v9.pdf
 
1. 医薬品の包装容器に要求されること;安全機能を付与する
安全機能とは何ですか? (Q 1.1)
回答:安全機能は、医薬品の包装容器に付加された2つの要素で構成されています。
(1) 固有記号、それが印刷される個々のパックの識別および認証を可能にする二次元バーコードによって進められる特異なシーケンス、
そして
(2) 医薬品の包装容器が改ざんされているか否かを確認できる仕組み(改ざん(開封)防止機能)。
 
2. 表示が義務付けられる固有記号とは;
固有記号の構成は、
(1) 製品コード“PC”;、(ISO 15459に即し50文字以下、国際的固有記号
(2) シリアル番号“SN”(20文字以下、乱数か)
(3) 国別特異記号・番号“NN”(オプション)
(4) バッチ番号
(5) 有効期限
の5項目からなり、その情報は2次元バーコードに手表示される。
表示例とその日本語訳を示す。


3. 固有記号の表示対象
EU 域内で製造され、使用される医薬品全て
ただし
安全機能に関する規則は、動物薬にも適用されますか?(Q1.5)
回答:いいえ。規則は、人用医薬品にのみ適用されます。

4. 治験(臨床試験)用サンプルの取り扱い
安全機能に関する規則は、研究開発を目的とした医薬品に適用されますか?(Q1.6)
回答:研究開発を目的とし、マーケティング承認を受けていない医薬品は、安全機能の規則から除外されています。

5. EU域外で使用される医薬品の場合
EUで製造された医薬品が輸出専用の場合に安全機能は要求事項ですか?(Q1.7)
回答:いいえ。

6. 小さな包装容器での表示方法
2つの最も長さの合計が10センチメートル以下の医薬品の包装容器では、固有記号を含む二次元バーコードを印字することを免除されていますか?(Q2.6)
回答:いいえ、第7条(2)は、固有記号を判読可能な形式で印字することのみ免除を規定しています。 読み取り機用フォーマット(2Dバーコード)の固有記号は依然として必要です。

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執筆者について

古澤 久仁彦

経歴 1978年住友化学工業に入社、創薬、安全性等に従事。2004年三井農林(株)に入社APIの製造部門にて、信頼性保証部長を歴任、2010年テバ製薬(旧大洋薬品)に入社、信頼性保証部門、部長としてvendorのGXP全般の監査を担当。2014年退社。
製造所のGM(X)P監査・risk評価並びGMP管理(製造管理、品質保証・管理、文書管理)の実践的対応、risk分析、PMDA/FDA査察の実践的対応を得意とする。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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