知的創造性を革新する組織と空間実現のメソッドプログラミング【第2回】

2018/08/24 施設・設備・エンジニアリング


知的創造性を革新する理論
知的創造性を革新するためには、それを計測し、革新する方法がなければなりません。物理的な生産性は計るシステムがあり分析もできます。従って、生産性を上げる手段を見つけることもできます。しかし、知的創造の生産性をどのように計り、さらに創造の生産性を上げるためはどうするのか?多くの人が納得する、生産性の指標とそれを上げる手段となる理論が必要です。

研究開発の生産性の研究
創造生産性について多くの人が研究をしています。その中で最も重要で且つ革新的な研究を行った研究者が、マサチュセッツ工科大学(MIT)のトーマス・アレン教授です。
彼はもとボーイング社のリサーチエンジニアで、1963年からこの研究に携わることになったのです。そのきっかけは、MITのマネジメントスクールにはマーケティングや生産管理のコースがあるのに、研究開発のマネジメントコースがないのは何故かという疑問でした。当時の指導教授であったマーキス教授はこの疑問に対して「研究開発のマネジメントで分かっていることが少ないので、マネジメントスクールは無視している」と答えました。
 
その後この研究開発のマネジメントに関する研究が、マーキス教授を中心にMITのスローン・スクールで始まりました。トーマス・アレンはマーキス教授から要請されて、ボーイング社を休職しこの研究に加わり20年近くかけてこの研究は行われたのです。この間にマーキス教授は故人になられトーマス・アレンがその後引き継ぎました。
 
私の知っている限りでは、この種の研究で、具体的に同一テーマで複数の研究機関に研究開発を依頼し、同一の調査書で数年間に渡りデータを取って分析した研究は、このトーマス・アレン教授のグループが初めてであり、その後このような大掛かりで、長期的な研究は私の知る限りですが行われていません。この研究は知的生産性の唯一の研究データです。
 
実際にはNASA等から依頼された研究、例えば、月面移動車などの開発を、複数の研究機関、国立、大学、民間など13の研究機関に依頼したのです。その中間報告書という位置づけで、1984年に出版されたのが、「Managing the・Flow of Technology」という著書であります。
その後多くの研究者はこのアレン教授の研究成果を元に、このテーマを研究し論文を発表しています。
 
アレン自身も2006年にドイツの建築家ギュンター・ヘンと新たに著した著書が「The Organization And Architecture Of Innovation」であります。
これはアレン理論の発展と実現であります。

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執筆者について

糀谷 利雄

経歴 1967年明治大学理工学部建築学科を卒業。
1982年大手エンジニアリング会社入社。
医薬を中心に、生産施設、研究所など多数のプロジェクトに参画し、高生産性を実現する施設のコンセプトを計画・設計する。
現在、株式会社シーエムプラス フェロー
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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