再生医療等製品の品質確保のための要求事項【第7回】

2018/03/16 再生医療

水谷 学

 ここでは、再生医療等製品の最終製品における最終製品の考え方と、それにともなう製造方法のバリエーションについて概説します。今回のお話しは、少し現状とはかけ離れた、将来展望を含む内容となりますが、細胞製造における品質確保(プロセス)を検討するうえで、患者の(投与手技を含む)治療のために必要な、アウトプット(製品形態)とインプット(原料細胞)を考慮することは、重要であると考えています。
 
●再生医療等製品製造のスケールアップとスケールアウトの必要性
 製造のプロセスは、最終製品の規格(アウトプット)、すなわち内含する分化細胞の組成と数量や形態、および、原料の規格(インプット)から決定されます。再生医療等製品の製造プロセスは、原料となる細胞の選択と、最終製品をどのような形態で患者(医療機関)へ供給するかによって、図1に示すような、12種類程度のバリエーションが想定されると考えています。

 



図1.再生医療等製品で考えられる製品形態のバリエーション
 

 一般的に、最終製品が凍結等の長期保存が可能な方法で、原料が患者由来ではない同種由来(他家)細胞ならば、製品はロットを形成することが想定されます。これらは、1回の製造でできる限り多くの製品が調製可能な、スケールアップ型の製造が要求されると考えます。これに対し、自己細胞由来の製品では、製品はロットを形成しない一品もの(テーラーメイド)製造であり、スケールアウト型の製造であることが想定されます。これらの考え方は、現状の、患者の治癒力を高めること(可逆的な回復)を目的とした、10億個スケール未満の細胞(懸濁液)を投与する治療には、当てはまる場合が多いと考えます。
 一方で、再生医療が、将来的に期待される、患者の不可逆的に失われた機能を回復する目的で適用されるには、最終製品(移植物)における要求の1つに、「機能」という有効性が付加されていくことが予想されます。機能を有する最終製品の形態としては、例えば、培養組織のような構造物が挙げられます。培養組織を最終製品とする場合、長期的な保存方法が確立されなければ、使用期限(投与可能な期間)は比較的短いと考えます。そのとき、組織への調製は治療時における用事対応となり、製造後すぐに医療機関へと運ばれ、速やかに患者への投与が行われる必要が生じます。したがって、テーラーメイド治療のための、スケールアウト型製造の考え方は、今後においては、マスターセルバンクを有するiPS/ES細胞由来製品でも、十分に可能性があると考えます。

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執筆者について

水谷 学

経歴

大阪大学 大学院工学研究科 講師。
1997年群馬大学大学院工学研究科博士後期課程を中退。国立循環器病センター研究所生体工学部にて生体適合性材料の研究を行った後、株式会社東海メディカルプロダクツにて循環器用カテーテルの開発および製造に関わる。2004年より株式会社セルシードにて再生医療に係る開発および品質保証を担当し、臨床用細胞加工物の工程設計や細胞培養加工施設の設計と運用を実施。東京女子医科大学での細胞シート製造装置開発を経て、2014年より現職。細胞製造システムの開発に従事。工学研究科の細胞製造コトづくり拠点において、細胞製造コトづくり講座(社会人教育)および標準化・規制対応に関わる共同研究を担当。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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