【第19回】デジタルヘルスで切り拓く未来

「XRがもたらすもの」


●要旨
 「XR(クロスリアリティ)」が身の回りに登場しています。「VR(仮想現実)」は医療や福祉の現場ではよく使われるものになりました。MR(複合現実)」や「AR(拡張現実)」も現実への投影など、暮らしを豊かにするものとして見かけるようになりました。それらをデジタルヘルスに活用するには、叶えたいことやリスクの存在など要素を分解する必要があります。これまでできなかったことを可能になることが期待できる「XR」ですが、その影響力についても研究が進められています。

●はじめに 広がりを見せる「XR」
 様々なツールや展示会で「XR」という言葉を聞くようになりました。e-SPORTSやエンタメ、アートの世界にはたくさんの技術が使われています。各地で開催されるナイトエンタテイメントやデジタル分野に強いミュージアムでは、今までにないような体験ができることで人気があります。煌びやかな印象のあるテクノロジーです。
 筆者が10年以上前から研究室や展示会で眺めていた「VR」は、今では特別な人による特別なテクノロジーではなく、身近なものとなりました。安くはないけれどヘッドマウントディスプレイは、ちょっと頑張れば買えるようになり、スマートフォンのからの転用もあります。ヘルスケアの領域では、早くからV Rの可能性を探る人が多く、X R全体への関心が高いと思います。また、福祉の世界ではアシスティブテクノロジーとして早くから導入の検討が進んでいました。

<図表> XRで叶える医療上の価値

1 VRから始まり、広がるXRの技術
 「XR(クロスリアリティ)」には、「VR(仮想現実)」、「MR(複合現実)」、「AR(拡張現実)」などがあります。共通している言葉は、「R」つまりリアリティ、現実です。ここがとても大事で、現実にどれだけ迫り、何を叶えているのかをよく考える必要があります。
 最初は「VR」に関心が集まりました。こうした動きは、大規模展示会の変遷を見るとわかります。筆者はウエアラブルコンピューティングや医療3.0のチームにご縁があるため、早くから展示会に出かけては体験し、あれこれ見比べていました。「VR」は、事業モデルの具体化が進みました。映画館のスクリーンをパーソナルに利用し、そこに種々のテクノロジーを掛け合わせれば、可能性が広がります。3Dのスクリーンや臨場感はエンタメの中では大事な要素ですが、全てが仮想です。パーソナルという点で効率化が叶えられます。今や、隣の人と同じテレビ番組を見ている時代ではありません。一方で、共有や遠隔での利用ができます。
 最近では、医療現場で盛んに利用されています。興味深いのは、各種の医学系学会総会のポスターです。特に外科系ですが、医師が利用するVR的な図画がよく登場します。リハビリテーションでは、患者さんがVRで頑張っています。
 「MR」「AR」では、現実とのミックス、重畳があります。現実のものや空間の中に描き出されます。プロジェクションマッピングのイベントを思い浮かべればわかりやすいでしょう。医療の事例では、患者さんやモデルに投影することにより、情報把握や手技の効率化を図ります。また、医療情報をシースルーゴーグルに示し、ディスプレイに顔を向ける必要がなくなり、スタッフとの共有も可能です。現実に情報を重ね合わせることができれば、私たちの生活ももっと便利になります。

 

 

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