医薬品委受託製造に関する四方山話【第8回】

2014/02/10 製剤

16.委受託製造における技術移転
 本四方山話の第4回「委託先の選定方法」でも記載しましたが、受託側の技術力は、多くの場合、委託側にとって絶対外せない重要な選定要素となります。コストがいくら安くても、安定的に製造する技術がない、交叉汚染を回避する技術がない、できたものを間違いなく評価できる技術が乏しいといったことでは、安心して任せられません。一方で、受託者が持ち合わせている技術力に対する期待は、委託する"もの"によって様々な期待レベルがあります。たとえば、1)委託者がこれまで実施してきた製造を踏襲して安定生産できるレベル、2)何かトラブルが起こっても自ら判断して提案し、自力で解決できるレベル(トラブル自体はタイムリーに報告できる)、3)既存の製造法を改良し、さらに一歩上の付加価値を見出し提案できるレベル等です。委託側が何を受託側に期待するかで、どの受託会社を選択するかが決まってきます。また、技術の中には、ものづくりを論理的・科学的に解析する技術、固形製剤等での職人的な体で覚えた技術、そして何よりもそういった技術が個人に集約されているのではなく、会社として系統だって蓄積されているかどうかといった側面も重要なファクターになってきます。私は、原薬の製造法開発の仕事をしていたときに、よく製剤部門の方が造粒物を手指の上に置き、人差し指と親指でこすりながら感覚で評価されているのを目にするにつけ、何と非科学的な人達だとおもったものでした(すみません、過去の話です。随分昔のことなので許してください!)。しかし、今ではよくわかります。QbDも大事ですが、こういった経験値がものをいう職人的技術も非常に重要なファクターで、そういった人が受託会社にいることだけで安心感に繋がることも実際にはあります。技術移転を行う側、受ける側双方が、相手の技術者の実力を知り、互いの違う文化を理解し合い、その上で何が重要な技術なのか、その達成指標は何なのか、そういったことを確認しあいながら、技術移転項目をひとつひとつ仕上げていくことが最終的なゴールに繋がるわけです。第4回目にも記載しましたが、実は、コストを低減することとか、品質を安定化することとか、納期まで最速で仕上げることといった委託先選定要素というのは、実は"技術"に立脚していることがほとんどなので、結局のところ技術力のあるCMOが競争に打ち勝っていくことに繋がっていくのだとおもいます。
 

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執筆者について

笠井 隆行

経歴

個人コンサルタント
1985年に塩野義製薬(株)入社 医薬品物性研究、分析法設定、国内外申請資料(CMCパート)作成、原薬製造プロセス研究に従事、
1997年から2年間の米国Schering-Plough社でのGlobal GMP, CMC開発の海外研修後、CMC Office長、治験薬製造室長を兼務
2006年に武州製薬(株)代表取締役社長就任、2012年に日本CMO協会会長(4年間)
2016年に富士製薬工業(株)副社長 生産統括本部長、富山工場長を歴任、
2017年からタイOLIC社 Managing Directorを兼務
2022年にシオノギファーマ(株) 信頼性保証本部長、第一生産本部長を歴任
2024年3月:シオノギファーマ(株)退職

出身地 大阪

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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