基礎からのGPSP【第21回】

~製造販売後調査等業務の委託②~

3.調査・試験等の受託 
この項では、製造販売業者が販売委託や共同プロモーションで使用成績調査等を受託した場合の実施事項につき解説する。
 
3.1  契約内容
製造販売後調査等業務を受託する際は、前項の委託する項目について規定された内容を合意できるかどうか、報告方法等が自社の手順書等の規定に一致して遂行できるかを確認し締結する必要がある。
 
3.2  受託に際して必要な情報
(1)   提供資料等
調査実施に当たり、必要な情報が提供されるのか、調査の指示など文書等で適切に連絡されるのか等につき明確化できるかが重要である。
(2)   調査進捗管理についての報告方法
1)   報告時期、頻度等の合意
調査等が開始され、施設選定、契約の締結、調査開始等の個々の時期で報告するのか、安全性定期報告等の一定の時期で区切って報告するのかを明確にしておく必要がある。
2)   報告方法
進捗管理等のシステムを使用し電子的に報告する方法、Email 等に必要なファイル等を添付して送付する、FAX等により報告するなど、場合によっては手順書の改訂等を必要とすることもあるので、委託社に十分確認しておかなければならない。
(3)   業務に関連する文書等の保存
1)   調査依頼等の契約書、登録票、調査票等の資料の管理方法
2)   実施部門との進捗管理にかかる報告書等の社内的資料
 
4.CRO等への各業務の委託時の留意点
様々な業務を、委託する際の主な留意点を検討した。
 
4.1  製造販売業者との委受託
製造販売業者同士の委受託については、販売提携や共同プロモーションに関する事業契約に基づき委受託契約締結前に決定している場合が一般的である。
(1)   事業契約締結時の留意点
医薬品等の販売活動においては、製造販売安全管理体制と新医薬品等における製造販売後調査体制は必須であることから、事業契約(原契約)の必須事項としてどのような体制を構築するかについて、盛り込まれている必要がある。活動の詳細については担当部署同士が取決める契約書又は覚書等で規定するが、原契約の中で少なくとも別途、覚書等を定めることと、活動の責任分担については明確にしておく必要がある。
(2)   業務手順のすり合わせ
原契約締結時に、委受託先は既に決定していることから、事前確認においてはそれぞれの業務手順の相違点と共通化の可能性の有無について確認することが要点となる。それぞれの業務手順で活動することで、相互の業務手順から逸脱がないかを確認し、その危険がある場合は、逸脱がない範囲の手順を取決め、対象製品に特化した業務手順(すり合わせ業務手順)を作成する必要がある。
(3)   契約書又は覚書等の締結
規定すべき内容については、2.3のとおりであるが、各業務の責任の所在、即ちどこまでが受託者として、どこから委託者として活動するのか、それとも両社で協働していくのかを明確にした役割分担を含めておくことも必要である。時にして、それぞれ製造販売業者としての役割を果たそうとして、活動決定の手順が混乱してしまうことがあるため、初めから役割分担を明確にしておくことにより、それを避けることができる。

 

 

執筆者について

経歴 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

コメント

コメント

投稿者名必須

投稿者名を入力してください

コメント必須

コメントを入力してください

セミナー

eラーニング

書籍

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

※関連サイトにリンクされます