再生医療等製品の品質保証についての雑感【第66回】

2024/10/11 再生医療

水谷 学

設計-1から設計-3までのそれぞれにおいて、どのようなことを行うべきなのか、雑感を述べる。

第66回:再生医療等製品の製品開発と製造工程開発とQbD (5) 
~ 製造工程開発をはじめる(3) ~


はじめに
 前回、下図を示すことで、再生医療等製品(細胞加工製品)の製造工程開発について、設計-1から設計-4までの開発手順の考え方を示しました。細胞加工製品の製品開発では、治験後に新たに実製造スケールの工程設計(設計-4/モックアップ)を行うことは困難であり、設計-3(治験終了時)までに治験製品と同等性/同質性を有する実製造スケールでの製造が可能な工程設計を達成する必要があると考えます。そのためには、設計-1から設計-3までのそれぞれにおいて、どのようなことを行うべきなのか、今回よりざっくりと説明していきます。


図.  再生医療等製品のQbDアプローチと製造工程開発の手順に関する考え方 【再掲】

● そもそもこの図においてどこがポイントとなるのか?
 上図について、筆者は多くの方々と議論し、3年以上の期間をかけて熟成させてきたので、念入りにポリッシュアップしたつもり(笑)で、すっきりとした図に見えていますが、実際のところ、見慣れない方々には非常にビジーでわかりにくい図と感じられるでしょう。ですので、先ずは、本図のどこがポイントとなるのかを改めて説明したいと思います。特に大きなポイントは2つと考えます。
 先ず、本図では、開発する製品が、確定したCQAが単独で有効性(QTPPとの相関)を確保できないことを前提としています。すなわち、CQAは。製品設計時の試作や治験製品の製造で用いた原料細胞、培地等の補助試薬および製造手順など、製造プロセス(物質特性MAおよび工程パラメータPP)が組み合わされた状態で初めて「確定したCQA」との認識となります。

 

 

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執筆者について

水谷 学

経歴

大阪大学 大学院工学研究科 講師。
1997年群馬大学大学院工学研究科博士後期課程を中退。国立循環器病センター研究所生体工学部にて生体適合性材料の研究を行った後、株式会社東海メディカルプロダクツにて循環器用カテーテルの開発および製造に関わる。2004年より株式会社セルシードにて再生医療に係る開発および品質保証を担当し、臨床用細胞加工物の工程設計や細胞培養加工施設の設計と運用を実施。東京女子医科大学での細胞シート製造装置開発を経て、2014年より現職。細胞製造システムの開発に従事。工学研究科の細胞製造コトづくり拠点において、細胞製造コトづくり講座(社会人教育)および標準化・規制対応に関わる共同研究を担当。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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