再生医療等製品の品質保証についての雑感【第65回】
第65回:再生医療等製品の製品開発と製造工程開発とQbD (4)
~ 製造工程開発をはじめる(2) ~
はじめに
前回、有効性を担保する明確なCQA値が設定できない細胞加工製品の製品開発では、機能設計が製品設計の理解に影響される(含まれる)ことを考慮する必要があるとお話ししました。これにより、決定された機能設計が治験製造以降の変更管理に影響を生じさせるため、細胞加工製品の承認後を含めた変更実施計画(PACMP)は治験製品製造時において準備を進めることが望ましいと考えます。本稿では、より適切なPACMPの作成に向けた、機能設計と製造工程開発の進め方について、我々が行うQbDに関わるAMED事業(ACEプロジェクト)での成果を踏まえ、雑感を述べさせていただきます。
● 製品のライフサイクルを考慮した製造工程開発の考え方
細胞加工製品の製品開発において、QbDアプローチを実施する上で生じる一番の特徴は、下図に示すよう等の環境特性および試作時において採用した工程の作業特性など、機能設計時にCQAとして決定される目的細胞の品質が、製品設計段階(試作)において使用した原料細胞特性、培地/細胞代謝物濃度等の環境特性、製造方法に依存する作業特性(プロセス設計)を包含して構築されることです。そのため、CMAやクリティカリティの高いtCPP(tentative-CPP)は、CQAに関する理解度に応じて、治験開始以降の変更が制限されてしまうと考えます。製造承認後における市販培地等の購買品に関する変更管理では、最近の議論において特に話題になるのが、製品のライフサイクルを通じて安定して調達が実施できるように、「製品設計段階において予め代替品の選択を可能とするCMA設計が望ましい」が挙げられます。
製造工程開発の実施では、製品設計段階で生じるCMAの制限を前提に、設計-1から設計-4までの段階で、工程手順の設計を分類した。一般的な製品の製造では、設計-1と設計-4のみで製品開発が構成され、製造工程開発の段階においては、製造承認後の手順計画とともに、設計-4のみを実施すれば良いと認識します(極論ですが..)。これに対し、細胞加工製品では、QTPPに相関するCQAの理解が不足しているため、製造承認後の設計-4のみで適切な品質を実現することが困難であると想定します。そのため、治験段階の終了までに、設計-2および/あるいは設計-3を適宜実施することで、予め製造工程のDS範囲を決定し、製造承認後の設計-4と互換性を有する工程手順の構築と、最終製品の同等性/同質性を確保する必要があると考えます。製造承認後の設計-4の実施では、製品設計段階から治験段階までの知識管理をベースに、承認後CMCコミットッメントにより製品の同等性/同質性を確認することが望ましいですが、実際のところ、予め同等性/同質性の確保に確信が持てなければ困難であると考えます。
これらを達成して適切にを設計-4まで進めるには、現状では、治験終了時までに製品のライフサイクルを意識した製造のDS(デザインスペース)を決定し、DSの範囲内で変更管理を行うことが設計手順の1つの考え方になると考えています。
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