知的財産の基本から知財ミックスまで【第23回】

2024/05/24 その他

意匠権の年金管理について。

 

意匠権の年金管理について

 

(1)はじめに
 登録査定が通知され、30日以内に意匠登録料を支払うことによって、意匠権が設定登録されることになります。
 ここで、意匠登録料(維持年金または年金)とは、意匠権を維持するために特許庁に支払う料金です。
 意匠登録料を所定の期日までに支払わないと、意匠権が消滅してしまいますので、その管理は非常に重要になります。

(2)意匠登録料について
 意匠登録料については、次の表に示すように、第4年度から約倍額になるように設定されています。

 この意匠登録料は、秘密意匠、部分意匠、関連意匠、組物の意匠であっても同じ金額になります。

 このような料金体系となっていますので、まずは第4年度分納付の際に意匠権を維持するか否かを見直した方が良いでしょう。
 実際、意匠権の維持期間は、第4年前後で維持される意匠が大きく減少するという報告があります(登録意匠の価値を表す指標, 吉岡(小林)徹他, 日本知財学会誌Vol. 12 No. 3- 2016:72-95)。

(3)意匠権の年金管理の重要性
 上述したように、意匠登録料を支払わないと、その意匠権は自動的に消滅します。
したがって、特許権と同様に、意匠権の年金管理は非常に重要です。

 特許庁からは、「年金納付期限が近づいている」等の通知は一切なく、自己管理が原則になります。
 自社内に知的財産部等のような専門部署があれば、そこで管理してもよいですが、担当者交代等によって年金管理業務がスムーズに引き継がれなかった場合のリスクは甚大です。

 具体的なリスクとしては、上述したように意匠権が消滅してしまうことです。そして、意匠権が消滅してしまうと、同じ意匠に係る意匠登録出願を再度申請したとしても、意匠の登録要件の一つである新規性が欠如しているという理由で、二度と登録されることはありません。
 すなわち、一度意匠権が消滅してしまうと、原則として意匠権の回復はできないということです。
 (なお、意匠権が消滅してしまった場合であっても、例外的に回復することが可能となっています。しかし、回復申請できる期間が制限されていたり、料金を倍額払う必要がある等の制限があるので、注意が必要です。)

 このようなリスクを低減させたい場合には、費用はかかりますが、特許事務所や年金管理会社等に年金管理業務を委託することをお勧めします。

 これらの機関は、複数のシステムを使って特許料の納付漏れが発生しないように、十分な対策をしていることが多いです。


 

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執筆者について

高松 孝行

経歴

ブランシェ国際知的財産事務 共同代表弁理士。
茨城県出身。東京工業大学大学院にて原子核工学を専攻。大学院での研究経験を生かして、弁理士となる。特許事務所勤務を経て、独立行政法人産業技術総合研究所(現国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研))にて、医薬・医療機器関係の技術を含む技術移転業務に従事。数百社との技術移転交渉、1,000通を超える契約書作成を経験。産総研退職後、2015年3月事務所開設。現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業カタライザーおよび独立行政法人中小企業基盤整備機構の中小企業アドバイザー等の公的機関の専門家として、医学部の教授、医師、医療機器メーカー、医療ベンチャー企業等の支援を行う。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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