【第9回】マイナスからはじめる生物統計学

2024/05/17 その他

大橋 渉

前回に引き続き割合の検定のお話です。

症例数(n数)と信頼区間

1.クロス集計とは?
 前回に引き続き割合の検定のお話です。まずは簡単な質問…と申しますか復習になりますが、割合を図示するときに用いるグラフは何でしょうか?答はもちろん、図1のような円グラフです。これらのグラフは共に、ある薬剤の開発治験(もちろん架空ですが)に参加した180名の内訳を示したものになります。

図1.単純集計の割合を示すには「円グラフ」

 ですが、これらは単純集計の結果に過ぎません。もしも、薬剤の種類別に効果の有無を見たい場合には、どのようなグラフになるでしょうか?当然、単純な円グラフでは表現出来ませんので、図2のような「帯グラフ」を用います。

 表1は、図2のグラフの基になったデータです。薬剤の種類別に、効果の有無について集計を行ったこのような表のことを、クロス集計表と呼びます。特に医学研究では、効果あり/なしとプラセボ/新薬のように、カテゴリが2つのものについてクロス集計を行う場合が圧倒的に多くなります。このようなクロス表を2×2表などと呼びますが、例えば、プラセボ/新薬と「著効(素晴らしい効き目?)/有効/無効」のような3カテゴリの場合は2×3表と呼びます。
 図2の結果から薬剤の種類別に効果を見ますと、やはり新薬の方が「効果あり」の人数は多いようですが、同様にプラセボも「効果あり」の人数が多いようです。ならば、本当に新薬の効果はプラセボよりも有意に高いのか…というところを見ていきたいと思います。

 

 

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執筆者について

大橋 渉

経歴

愛知医科大学 臨床研究支援センター 准教授 博士(医学)

東京学芸大学大学院教育学研究科、東京医科歯科大学情報医科学センター特任助教、財団法人臨床研究情報センター、製薬企業等において臨床研究の支援及び医薬品の開発、製造販売後調査等に従事。富士通株式会社においてマーケティングデータ解析案件などに従事の後、2018年より現職。専門とする医学、生物、保健統計学の他、教育学、社会学、心理統計なども経験。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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